暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
35.水精の剛硬
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「わたし、反省しました。これからはもっと監視を強化しないと」

「ボクも強化することにするからね」

 きっぱりと言い切る雪菜と友妃の言葉に、彩斗と古城が弱々しく空を見上げた。

「「……勘弁してくれ」」




 海面が凍りついている光景を見て金髪の吸血鬼は愉しそう笑みを浮かべる。

「立上さん、終わったんですか」

 茶髪の少女がこちらに駆け寄ってくる。

「ああ、終わった。いや、始まるのか」

 胸ポケットから銀色に輝く刃物を取り出しながらこれから始まる出来事に興奮を隠せない。
 銀に輝くメスからは禍々しい魔力の波動のようなものが大気に溢れ出てくる。それは先ほど“神意の暁(オリスブラッド)”から奪いとった力だ。

「さあ、それじゃあ始めようか」

 メスを自らの胸へと突き刺した。
 痛みが走る。それ以上になにかが少年の中に流れ込んでくる。血が昂り熱くなる。身体が崩壊するかと思うくらいの激痛が走る。
 力を拒んでいるようだ。それでも無理やりにでもその衝撃を抑え込む。

「はあはあ……」

 肩で息をしているが顔は笑っている。そんな複雑な表情に茶髪の少女は心配そうに見つめている。
 それでも少年は笑っている。これから始まることが愉しみでしょうがないのだ。

「これで俺も参加権を得た。覚悟していろ、緒河彩斗」

 これから始まる宴をまだ彩斗は知る余地もなかった。
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