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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――1
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らのせいなのかい?」
 だが、一見して光の腕は普通の腕のようだった。もちろん、掌の痣を除いてだが。
 アタシから見えば、それほど深刻な代償を追っているようには思えなかった。
「そうなる。ただ、この代償は普通の代償じゃあない」
「普通じゃない?」
 今さら普通という言葉が出てくるとは思っていなかった。そんな生き方ができる時点で、とっくに狂っている。そう思った。
「ああ。この代償――殺戮衝動は、最悪世界を滅ぼしかねない。実際、かつて滅ぼしかけたという事実がある」
 鼻で笑う事が出来たらどれだけ良かっただろう。だが、光が本気で暴れ出せば、この街くらいは軽く廃墟になるに違いない。
「かつてって事は、その時は滅ぼさずに済んだんだろ? その時はどうしたのさ?」
 その殺戮衝動に囚われた魔法使いを殺したという以外の答えでありますように。かなり本気で祈りながら問いかける。
「代償というのは、言いかえれば未練だ。それを果たしてやれば鎮まる」
 それはそれで血生臭い事になる。今さらそれを回避する事はできそうにないが。熱湯でも飲み干すような気分で、飲み込みがたい何かを飲み込み――覚悟を決める。
「それで、今回は誰を殺せば満足するんだい?」
 主だと言いだしませんように。再び心の底から祈る。それが叶ったと言うべきか――光はこんな事を言いだした。
「それが分からないから困っている。そもそも、この衝動が向けられていた本人はとっくの昔にこの世にいないんだ。だから、本来蘇ってくるはずがない」
 鎮めたと言う事はつまりそういうことだ。取りあえず、それについてはそれ以上深くは考えない。問題は、彼の殺戮衝動を止める手段がないという事だ。
「蘇ったって、一体いつから? その辺に原因があるんじゃないかい?」
「いつ蘇ったか……」
 光は嫌そうな顔をした。それに関しては心当たりがあるらしい。
「お前たちと初めて接触した時だ」
 告げられた時、思ったよりもショックはなかった。確かにあの時から、光の様子はおかしかったのだから。
「じゃあ、アタシ達を殺す?」
 アタシ達と行動を共にしたのもそれが目的だったのだろうか。そう思ったが――それはおかしい。殺す気なら、あの時殺していればよかった話だ。
「まさか。お前達を殺したりしたら、その時こそ俺はこの衝動から逃げられなくなる。わざわざ自分からその時を速める気はないさ。ただでさえ残り時間が少ないってのに」
 この言いよう。おそらく、だが――彼は本当は何が原因で蘇ったのかも把握しているのだろう。あえてアタシ達に言わない理由は分からないが。それに、今はそんな事はどうでもいい。今、光は聞き捨てならない事を言った。
「残り時間が少ないって……あとどれだけあるのさ!?」
 すでに自分自身で限界を把握できている。それは、かなり
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