暁 〜小説投稿サイト〜
魔王の友を持つ魔王
§60 巨神、大地に立つ
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
たつもりになっていた。無意識に生じた慢心か。

「神殺しよ。今回は痛み分けだ。……いや否だな。ここまで追い詰められた以上私の負けだろう。だが次は私が貴様を殺す」

 偉そうな魚の声と共に、天から水が降って、来る。吹き飛ばそうとして――右手の雷龍が消失していることに気付く。

「なッ!!?」

 事態の把握が追いつかない。何が起きた。奴は何をした? 全力で頭を回転させる黎斗だが、相手はそれを待ってくれない。

「去らば! 首を洗って待っているが良い、神殺しよ!!」

 神の声と共に、降ってきた水は洪水と化し大地を蹂躙する。なす術も無く黎斗は水に呑み込まれた。この程度で黎斗自身はなんともないが、恵那や他の人間達が拙い。

「しまっ――!!」

 圧倒的な濁流が、全て纏めて、押し流す。荒れ狂う水流は魚を、魔術師を、瓦礫を、黎斗の髪を、薄刃を、地平の彼方へ消し去っていく。

「っ、やられた……!!」

 咄嗟に唱えた避水訣で黎斗は流されずに済んだものの、表情は暗い。

「これは参ったな……」

 相手を敗走させた、という意味では勝ちかもしれない。だが。しかし。

「この能力はいくらなんでも反則だろ」

 原理はわからない。原因もわからない。何もかもがわからない。ただ一つ確かなのはその厄介すぎる効果。

「アイツの放った刃物か? それとも最後の水か?」

 相手が何の神かすら特定できていない現状では、解呪方法も、正しい効果も見当がつかない。

「護堂の”剣”ですらチートなのに事前準備なしで行けるっぽいこれは一体……」

 次に出会ったら。

「武術で押すしかない、か。……やってくれる。早いとこ見つけないとしんどいなんてもんじゃねーぞこれ」

 権能を封じられた(・・・・・・・・)魔王は、苦い声で呟いた。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ