§60 巨神、大地に立つ
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たつもりになっていた。無意識に生じた慢心か。
「神殺しよ。今回は痛み分けだ。……いや否だな。ここまで追い詰められた以上私の負けだろう。だが次は私が貴様を殺す」
偉そうな魚の声と共に、天から水が降って、来る。吹き飛ばそうとして――右手の雷龍が消失していることに気付く。
「なッ!!?」
事態の把握が追いつかない。何が起きた。奴は何をした? 全力で頭を回転させる黎斗だが、相手はそれを待ってくれない。
「去らば! 首を洗って待っているが良い、神殺しよ!!」
神の声と共に、降ってきた水は洪水と化し大地を蹂躙する。なす術も無く黎斗は水に呑み込まれた。この程度で黎斗自身はなんともないが、恵那や他の人間達が拙い。
「しまっ――!!」
圧倒的な濁流が、全て纏めて、押し流す。荒れ狂う水流は魚を、魔術師を、瓦礫を、黎斗の髪を、薄刃を、地平の彼方へ消し去っていく。
「っ、やられた……!!」
咄嗟に唱えた避水訣で黎斗は流されずに済んだものの、表情は暗い。
「これは参ったな……」
相手を敗走させた、という意味では勝ちかもしれない。だが。しかし。
「この能力はいくらなんでも反則だろ」
原理はわからない。原因もわからない。何もかもがわからない。ただ一つ確かなのはその厄介すぎる効果。
「アイツの放った刃物か? それとも最後の水か?」
相手が何の神かすら特定できていない現状では、解呪方法も、正しい効果も見当がつかない。
「護堂の”剣”ですらチートなのに事前準備なしで行けるっぽいこれは一体……」
次に出会ったら。
「武術で押すしかない、か。……やってくれる。早いとこ見つけないとしんどいなんてもんじゃねーぞこれ」
権能を封じられた魔王は、苦い声で呟いた。
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