§60 巨神、大地に立つ
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い。
「やりたくないけど短期決戦、か」
覚悟を、決める。呪力が空になるとか悠長なことを言ってはいられない。戦禍が広がる前に決着をつけるのだ。
「我が麗しの桃源郷が開かれん。帳よ降りよ。死色の景色が甦らん」
冥界を呼び出す。水神を取り込み、異界がその扉を閉じる。呼び出した理由は単純明快。魚人と恵那を攻撃範囲から外すため。そして、最大の一撃を叩き込む為。
「ほぅ。冥府に連なる権能か」
やはり神にとってはこの権能は即死の力を発揮し得ない。命を蝕む程度しかないこの能力は決定打にはなり得ない。だが、真髄はここからだ。
「――――時を刻もう。時を駆けよう。全ては我の望むがままに」
超加速。神速をも凌駕する速度で突貫。水神の前で手を天に翳す。突如現れる鉛玉。それは瞬時に巨大化していく――
「お前はなんかデカいからな。普通に倒すのは手こずりそうだ。だから、これで潰す」
刹那、爆発。その威力は惑星を消し飛ばして余りある。冥界に取り込んでいなければ、現世で発動すれば、人の文明を消し去りかねないほどの威力。当然、必殺だ。
―――
「ッ!!」
恵那の眼前に突如闇が現れて、瞬時に消える。一瞬のちに、闇は晴れ、そしてそこには多量の塵芥が漂うのみ。粉塵が、急速に集い、人間の身体を復元する。
「やっぱり死ぬ羽目になるか。こりゃ自爆技だな。……まぁいいや。これで後は事後処理、かな」
嘯く黎斗の手には、焔。彼が手を振る度に走るそれは魚人に寸分違わず命中し、彼らを人に戻していく。
「これでよし。呪力ギリギリ持ったか。あ、恵那さんや目ん玉返してー」
流石に辛い。もう一戦は流石に無理だ。もう神が出てこないことを祈りたい。多分大丈夫だろう。
「……なんでもアリだね」
満足する黎斗とひきつる恵那。非日常は幕を閉じ、日常が再びやってくる。
――それを油断と呼ぶのは酷だろうか。
「……?」
微かな違和感が、黎斗の脳裏で警鐘を鳴らす。でも、それは何? まさか三柱目の神では無いだろう。義妹も無事だ。魚人も全員解放済み。では、この感じは、何?
「れーと、さん……ッ!?」
小首を傾げた恵那の目が、鋭くなる。黎斗の背後を睨むように。
「ッ!?」
まさか。悪寒を感じながら振り向く。右手に収束するは太陽の光。振り向き様に一切合切を吹き飛ばそうとして。前方から飛来する何かを避ける。避けてしまった。よりにもよって、紙一重で。
――薄刃が、黎斗の髪を切り飛ばし、遥か後方へ飛んでいく。
「今のは効いたぞ。星をも砕く一撃、申し分ない!!」
「コイツ、まだ生きて……!!」
今まで確殺してきた。だから今回も確殺し
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