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ゾンビの世界は意外に余裕だった
2話、レグロン登場
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言していた。そして、司会のアナウンサーはパニックを起こさず、自分の身を守るよう呼びかけている。

 俺も事態はすぐに収束すると思っている。特に大日本共和国軍のロボット兵器は、対ゾンビ戦で大きなアドバンテージを持っている。テレビドラマみたいに文明は崩壊せず、共和国は秩序を回復させるはず。

 俺はそれを信じて、生き残れるようにしておけば良いだけだ。

 まあ、今のところゾンビが敷地に侵入する可能性は低いし、俺が居る本館にゾンビが現れる可能性は零に等しい。だが念のため、保険をかけておこう。

「キャリー。保安システムを組み替えたい。私以外のセキュリティーコードを無効にできるか」
「可能です」

「では、そうしてくれ。それと暗号コードは私の誕生年月日を西暦で現した数字を二回足したものにする」
「はい、全て再設定しました」

 何時ものように、緊急事態だから規則違反は許されるだろうの精神を発揮する。

「電力の供給はどうなっている」
「平常通り供給されています」

「万が一停電した時にはどうなる?」
「太陽光発電と蓄電システムで最低限の機能は維持できます。足りない場合はガソリンを使った発電で補助しますが、これには七十二時間分の燃料しかありません」

「なるほど……、最低限の機能に研究所の各設備の消費電力は含まれていないのだな」
「はい、監視カメラや照明、室温管理などが行われています」

「分かった。今はこのままで良いが、蓄電池の半分を消費したら報告してくれ」
「はい、斎藤様」

 キャリーと話を終えた俺は、昨日から何も食べてないことを思い出す。とりあえず5Fの社員食堂に向かった俺は、厨房で予想外の大型冷蔵庫と冷凍庫を見て驚いた。冷蔵庫の生鮮食品が満載してあるカーゴを、冷棟庫に運びこんでから、レトルトカレーと真空パック米を電子レンジで温めて食した。

「うーむ、人手が足りないな。特に食事係は必須だ」

 わびしい食事を食べたせいで、俺は初めて人恋しいなくなった。いや、最初に恋しくなった相手が、まさか料理上手の太ったコックのおばさんとは想定外だ。

 無論、おばさんは存在しないしあきらめるしかないが、研究所には禁じ手の代替え手段があった。一応ここは先端技術研究所であり、戦闘用から家事手伝い用まで、各種アンドロイドが揃っていたりする。それも実用段階に達しながら、反対派のせいで社会に送り出す法律が出来ず、埃を被っていたアンドロイドがゴロゴロいる。

 彼らの起動は割と簡単だ。俺を主人にして稼働させれば良いだけなのだが、事態が呆気なく収束して他人のアンドロイドのご主人様になりまくっていたら、同僚達は冷たい視線を俺に送るだろう。

 いや、今は緊急事態だ。悩んだ俺は家事手伝いアンドロイドを稼働させる前に、とりあえず自分が手がけた戦闘用アンドロイド達を稼働させることにした。

 
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