18話 『氷結の女王』
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クは一瞬何の事か理解出来ないが、"チビガキ"と呼ばれたらしいビルの方を見ると黒魔道士特有の黄色く丸い双眼をいつも以上に爛々とさせ、氷結の女王を前にすっかり見惚れている。
「はわぁ………クールビューティーさん、素敵でスぅ〜っ」
『まぁいい、用件は何だ? 答えようと答えまいと、氷付けにして追い返してやるけどな』
「待って下さい……! わたし達は、この洞窟で吹雪を起こしてるあなたを鎮めに来たというか……どうしても、この洞窟を調べたいという人から依頼を受けて来ました。
それでわたし達は、あなたを鎮めた上で"加護"を受けさせて貰って、熱地獄だっていうグルグ火山に向かおうと思って──── 」
白い格好の娘に正直に申し出られた所で、機嫌を損ねている氷結の女王は鋭い眼差しで4人の人間を睨み据える。
『このアタシを鎮めて加護を受け、あのグルグ火山へ行きたいだって……? たかが知れた人間が、調子いい事抜かしてんじゃないよ。……依頼ってのは何度か出入りして来たあの"ひょろオヤジ"からだろ。
懲りないもんだな、アタシは別に[浮遊石]なんて代物を守ってるつもりはないが、この場所がお気に入りなんだ。氷付けで追い返すなんて生易しい事やってらんないな────二度と日の目を拝めないようにしてやる』
云い切るなり両手を翳して幾つもの鋭利な氷塊を放ち、シファは咄嗟に氷属性を軽減させる白魔法<バコルド>を唱え、降り注ぐ氷塊から皆のダメージを抑える。
「ビル! 見惚れてねーでおめェも黒魔法で反撃しやがれッ」
「ふへっ? な、何だか申し訳ない気がしまスけど………<ファイラ>!」
ランクに急き立てられたビルは火属性の黒魔法を放つが、目前で強力な冷気に相殺される。
『そんなヤワな火で、アタシを溶かせると思ってんのか?』
「 ────どこ見てンだよッ!」
気を取られている隙に素早く背後をとってジャンプしたランクは二刀のダガーで鋭い斬撃を喰らわす。
『……痛いじゃないのさ、アタシの自慢の身体をちょっとでも傷付けるなんて、いい度胸だ。お前から氷付けにしてやるよ!』
「うおッ……!?」
至近距離から吐き出された強烈な冷気に、ランクの全身は瞬時に蒼白く透き通る氷の中に閉じ込められ落下していき、そのまま分厚い氷に覆われた地面に落ちればランク諸共砕け散ってしまうと思われた刹那、今度は炎に包まれたと見る間に氷付けから解放されたランクは見事に両足で着地し、そこへシファが急いで駆け寄っていく。
「大丈夫……!? すぐ回復するから!」
「あ? あぁ……(氷付けにされたと思ってりゃ火に巻かれたっつってもあンま何ともねェな、オレ??)」
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