魔法少女じゃなきゃダメだという
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「はぁ……」
口をついて出るのは溜め息ばかり。
周囲の友人――だと珠希は思っている――は皆「珠希はイジるトコが少なくていーよね」とか「遺伝子とかって結構残酷だよねー」とか「生まれながら人生イージーモードかよ」と言っていた。少なからずそこに慢心してしまったのが敗因かと今さらながらに思うが、現在高校3年生の初夏。次の中間試験さまが進路を大きく左右するようなこの時期に売れ残っている男子生徒はカノジョに敗れたか勝負を最初から放棄した負け犬扱いが関の山だ。
だが振り返ると入学時から「女子高生になったんだし、少しはナンパや合コンとかあるんだろうし――」と軽く見ていたのが運の尽きか。今の今までなぜか、どうしてか、いったい何がいけなかったのか、珠希は一度もナンパ・合コンに縁がないままだった。運が良いのか悪いのかを抜きにしても、どちらにしろ珠希のその基準では悪い虫がつかないかわりに良い虫を誘うこともできなかった珠希自身もまた負け犬として称されるべきであった。
「うーっ……」
そう唸ったところですれ違う会社員や大学生らしき男性が困った顔すら絵になる珠希の表情に思わず振り向いていくだけで、シンデレラや白雪姫すら肉食女子(注:肉食「系」ではない)でないと若くてイケメンな王子様を籠絡できないこの現世、壁ドン(注:誤用のほう)から強引にDキスして挑発的かつイミフな台詞でも吐いて惚れさせてくれるような俺様系肉食男子は現れてくれるわけがない。第一、少女マンガ文化にほぼ触れずにこの年齢まで生きてきた小心者女子高生サイドからすればそんなガツガツ迫られても困るだけだ。
何にせよ、負け犬と呼ばれ、踏まれて虐げられてムチで嬲られて快楽に浸る性癖など微塵も無いので、珠希はこのイライラの矛先を自分以外に向けることにした。
「ねえそこのカノジョ、これから暇だったり――」
「あ、今日は用事済ませてさっさと帰らなきゃいけないんで」
視界の外から声をかけてきた、綺麗に褐色に日焼けしたサーファー風金髪男性に対し、一瞥もくれることなく無意識のうちに煩わしいとばかりに手を振り、珠希は歩を進めながら愚痴を心の中で吐き捨てる。
「そんなこと言わずにさ、ちょっと、ほんのちょっとだけでもいいから」
「目的がわからないので嫌です」
「目的って、そりゃあ――」
「それに何ですその『先っちょだけ挿入させて』的な台詞」
「……っ!?」
あまりにしつこいそのサーファー風金髪男性に対し、珠希は無意識のうちに端整な顔を歪めて詰る。と同時に、イライラはさらに募ってきた。
くっそ誰だ、あんな男に声かけさせるくらい|女子
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