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銀河親爺伝説
第六話 怯え
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鹿な、何を考えている”とラインハルト様が吐き捨てた。ロイエンタール、ミッターマイヤー少将も嫌悪に顔を顰めている。

「そんな事が可能なのか?」
リュッケルト大将が訊ねるとグレーザーが首を横に振った。
「もちろん宮中にいる限りそんな事は出来ません。だから……」
「だから?」
「伯爵夫人を宮中から追い出せと。それからなら出来るだろうと」
グレーザーが疲れたように答えた。ウンザリしている様だ。

「しかし追い出すと言っても何処に追い出すのだ?」
ミッターマイヤー少将が疑問を呈した。確かにそうだ、こう言っては何だがアンネローゼ様には実家が無い。行く所等無い筈だ。ミッターマイヤー少将もそれを考えたのだろう。

「何とかしろと言われています。……以前から侯爵夫人は伯爵夫人、そしてミューゼル閣下に敵意を持っていました。しかし最近はそれが酷くて……、もう限界です」
溜息混じりの答えだ。グレーザーはベーネミュンデ侯爵夫人の取り巻きの筈だが憐れみしか感じない。皆も困ったような顔をしている。

リュッケルト大将が皆に“訊きたい事が有るか”と言ったので気になる事を訊いてみた。
「この手紙ですがミューゼル大将にだけ出したのですか?」
「いえ、リヒテンラーデ侯、ノイケルン宮内尚書、ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯にも出しました」
反応を示したのは我々だけらしい。

それを最後に質問は終わった。グレーザーには侯爵夫人の要求を適当にはぐらかすように、何か有ったら連絡しするようにと言って帰した。グレーザーは“見捨てないで下さい”と言って帰った。多分こちらを裏切る事は無いだろう。グレーザーが帰るとリュッケルト大将が“厄介な事になったな”と呟いた。表情が苦い。大将がラインハルト様を見た。

「ミューゼル、ベーネミュンデ侯爵夫人の気持ちが分かるか?」
「気持ち?」
「ああ、あの女が何を考えているかだ」
「……俺と姉上が憎い、だと思うが」
ラインハルト様が答えるとリュッケルト大将は“違うぜ、ミューゼル”と言って首を横に振った。

「怖いんだよ、お前が。侯爵夫人はお前に怯えているんだ」
予想外の言葉だった。ラインハルト様だけではない、皆が驚いている。ラインハルト様が“爺さん”と声を出した。
「次の戦いに勝てばお前は上級大将、ローエングラム伯爵になる。軍、宮中に於いてしっかりとした地位を得る事になるんだ。それを恐れている」

まさか、と思った。ローエングラム伯爵家の継承がこの問題に絡んでいる?
「以前殺し屋をお前に送ったからな、お前が強くなれば報復される、殺されると思っているんだ。お前は上り調子、あの女は下り坂、どう見ても勝ち目はねえ。だから必死なのさ、生き残るためにな」
「……」
「厄介な事になったぜ」
そう言うとリュッケル
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