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銀河親爺伝説
第六話 怯え
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そんな様子に大将が苦笑を浮かべた。

「宮廷医グレーザーだな。お前さん、少し困ってはいないか?」
「……」
グレーザーは目を瞬いている。そしてリュッケルト大将からラインハルト様へと視線を移した。明らかに困惑している。
「いやな、俺達は協力出来るんじゃないか、そう思ったんだよ。お前さんが困っているなら助けてやろうってな。俺達の勘違いかな、グレーザー」
「な、なにを仰っているのか」
おどおどしている。

「分からねえか? これは書いたのはお前さんじゃないのかな?」
リュッケルト大将が封筒を突き付けるとグレーザーの目が飛び出そうになった。じっと封筒を見ている。
「し、知りません。私では有りません」
ぶんぶんと首を振って答えた。声が震えているし汗をかいている、やはりこの男が送ったのだろう。“随分と汗をかいているな”とラインハルト様が皮肉ると慌ててハンカチで汗を拭った。

「そうか、人違いか。そりゃ失礼したな。帰って良いぜ、いや送っていくよ、グレーザー。ベーネミュンデ侯爵夫人の所にな」
「それは……」
慌てるグレーザーをリュッケルト大将が笑って遮った。

「遠慮するな。こっちが無理やり連れてきたんだからな、送っていくのが礼儀ってもんだ。それに俺も侯爵夫人に用が有る、こんなものが送られて来たが心当たりは有るかって訊かねえと」
「そ、そんな事をしたら……」
グレーザーが顔面を強張らせた。リュッケルト大将はニヤニヤしている。

「大変な騒ぎになるだろうな、誰が裏切ったって血眼になって書いた奴を探すはずだ。可哀想に、そいつは殺されるかもしれん。まあお前さんは無関係だ、俺が侯爵夫人にそう証言してやるよ」
「……」
今度は蒼白になった。ラインハルト様とロイエンタール、ミッターマイヤー少将は笑いを堪えている。“良かったな”とミッターマイヤー少将が声をかけた。グレーザーが恨めしそうな表情で少将を見た。

リュッケルト大将が表情から笑いを消した。
「もう一度訊こう、良く考えて答えるんだ。間違えると伯爵夫人が死ぬ前にお前さんが死ぬことになる」
「……」
「こいつを書いたのはお前だな、グレーザー」
グレーザーが助けを求めるかのように皆を見回した。そして項垂れて“はい”と答えるとラインハルト様が一つ息を吐いた。二人の少将も頷いている。

「どうやって伯爵夫人を殺そうとしているんだ?」
「……殺そうとしているのではありません」
グレーザーの答えに皆が顔を見合わせた。
「しかし害意有りと書いたのは卿だろう、嘘はいかんな」
ロイエンタール少将が非難したが“違うのです”とグレーザーが首を振った。

「伯爵夫人を身篭らせろと、もちろん陛下以外の人物とです。そうすれば、ミューゼル大将も、伯爵夫人も一挙に始末できると……」
“馬
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