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銀河親爺伝説
第六話 怯え
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テンハイム侯を敵に回す事になった”と言うとリュッケルト大将は“見殺しにすればもう誰もお前には付いてこない、俺も見限ったぜ”と言って笑った。ラインハルト様も“やれやれ、合格点を貰えたか”と言って笑った。二人とも冗談めかしてはいたけど本心だろう。

「あの、失礼ですが、お二人は親しいのでしょうか?」
ロイエンタール少将がラインハルト様とリュッケルト大将を交互に見た。
「二人とも上の受けが悪くてな、それで親しくなった。そうだろう?」
リュッケルト大将がニヤニヤ笑いながら答えるとラインハルト様が苦笑しながら“まあそうかな”と言った。二人の少将は困惑している。

「それで、手紙というのは?」
ラインハルト様が無言で封筒を渡すとリュッケルト大将がさっと目を走らせた。差出人は分からない。大将が封筒から手紙を取り出して読んだ。
「妙な手紙だな、二人には見せたのか?」
「いや、爺さんが来てからと思って」

リュッケルト大将は“ふむ”と言うと封筒と手紙をロイエンタール、ミッターマイヤー少将に差し出した。ロイエンタール少将が受け取ってミッターマイヤー少将と共に読む。二人とも妙な表情をした。手紙には“宮中のG夫人に対しB夫人が害意をいだくなり。心せられよ”とだけ書いてあった。直ぐに分かった。G夫人はグリューネワルト伯爵夫人、アンネローゼ様。B夫人はベーネミュンデ侯爵夫人だろう。

「なるほど、“幻の皇后陛下”、ですか」
二人の少将が異口同音に呟いた。
「ミューゼル、お前は悪戯とは思っていないようだな」
「ああ、以前何度か殺し屋を送られた事が有る、可能性は有ると思う」
ラインハルト様が苦い表情で言うとリュッケルト大将が笑い出した。二人の少将は驚いている。

「本当かよ、お前は敵が多いなあ。苦労するぞ、二人とも」
リュッケルト大将の言葉にロイエンタール、ミッターマイヤー少将が困ったような表情をした。困った方だ、直ぐに茶化す……。
「閣下、どう対応するべきか、検討したいと思うのですが」
「慌てるんじゃねえよ、キルヒアイス中佐」
「……」
もう笑ってはいない。鋭い目で私を見ている。

「先ずはその手紙、誰がどんな狙いで出したのかを知るのが先決だ。相手は落ちぶれたとはいえ皇帝の寵姫だったんだ。慌てて動くと怪我するぞ。そいつが差出人の狙いかもしれねえんだからな。俺達は敵が多いんだ、間違いは許されねえ」
そう言うと“違うか?”と言って皆を見回した。否定は出来ない、ラインハルト様も二人の少将も頷いている。リュッケルト大将がロイエンタール少将から手紙を受け取った。

「この手の手紙はな、大体目的は二つに分かれる。一つは警告だな、危ねえぞと善意から出ている。もう一つが何か分かるか?」
リュッケルト大将の問い掛けに皆が顔を見合わせた。一呼吸お
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