暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
34.洋上の慮外
[8/9]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
海王の聖馬《ポセイドン・ユニコール》”!」
実体化した黄金の角を持つ
一角獣
(
ユニコーン
)
が咆吼する。
フェリーの船体が大きく揺れる。陽光が巨大な浮遊物によって遮断される。
それは海水の塊。その大きさは優に絃神島の一基ほどの大きさとなっている。
海中に潜んでいた巨大な“
賢者の霊血
(
ワイズマンズ・ブラッド
)
”の塊が空中に浮かぶ海水の中に閉じ込められる。
「なんとかセーフみてぇだな」
いくら相手が人工の“神”だとしてもこちらも“神”の呪いを受けし、神々の化身だ。不安定とはいえ、その力はそれらに匹敵できる。
今のうちに“
賢者
(
ワイズマン
)
”を倒せばいいことだ。
「いいねえ、さすが宴を勝ち抜いただけのことはある」
そんな中、この場に似つかわしくない笑いを隠すような声がした。
声の方角へと視線を向ける。
そこにいたのは、金色の髪が襟足まで伸びている少年。学生の夏服のようなカッターシャツに黒い長ズボンを着ている。見た目は彩斗たちとあまり変わらない。どこかチャラい不良のようなイメージに見える。
「おまえは……」
言葉に詰まる。
この場にこの少年はいつからいたのだろうか。この少年から溢れ出るこのオーラはなんなのだろうか。そんな疑問が彩斗の頭を巡る。
だが、それよりも彩斗はこの少年を知っているはずだ。確実にどこかで会っているはずだ。
この感覚は、友妃のときと一緒の感覚……
「つれねえな。それならこれで思い出してくれるか」
金髪の少年が不敵な笑みを浮かべる。
それと同時に獣の咆吼が大気を震わせる。
その咆吼にその場にいた全員が身を震わせた。悪意に満ちた獣の咆哮。何度も彩斗の前に現れ、窮地に陥れた漆黒の獣の眷獣が再びその姿を虚空から現したのだ。
「あいつは……」
一角獣
(
ユニコーン
)
が攻撃体制に入る前に漆黒の獣は、その身体に鋭い爪を抉りこんだ。
絶叫するような馬の声が大気を劈き、黄金の
一角獣
(
ユニコーン
)
が消滅する。
それとともに海水の塊が支えを失い重力に引かれて再び、落下してくる。
船体が激しく揺れる。ギリギリで転覆することだけは免れた。
先ほどまで閉じ込められていた“
賢者の霊血
(
ワイズマンズ・ブラッド
)
”の塊が再び、解き放たれてしまった。
「まだ思い出してくれないみたいだな。それならこれでどうだ?」
金髪の少年が愉しそうに笑みを浮かべて、胸ポケットからなにかを取り出した。銀色の輝きを放つ十五センチほどの長さ。先端に刃が付いており、手術に使うメスのような印象だ。
「んぐっ……!」
その瞬間、彩斗の頭に激痛が走る。
記憶の扉が強制的に開かれていく。
今まで封印されていた記憶が徐々に徐々に明確な形をな
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ