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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
34.洋上の慮外
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》が不死身でなければ死んでたぞ」
「仕方ねーだろ。時速三千四百キロで吹き飛ばされたんだぞ」
「まぁ、ラ・フォリアことだから少しは覚悟してたが、流石にキツイな」
そして立ち尽くしていた友妃と雪菜が二人の少年に駆けていく。
半泣きの友妃が、彩斗の胸に飛び込んでくる。そんな彼女の手には真祖さえも殺せる“夢幻龍”を持ったままだ。
「なんで彩斗君がこんなところにいるの!?」
友妃は寸前まで詰め寄ると銀の刃を捨てて彩斗に抱きつく。
「なんでって助けにきたんだよ」
「それでもあんな登場の仕方ないでしょ!?」
抱きつきながら友妃は彩斗の顔を見上げる。上目遣いで抱きつかれている状態に彩斗の顔はみるみる紅潮していく。それを必死にこらえる。
「あれはラ・フォリアのやつがミサイルに乗れっていうから」
「
主
(
ヌシ
)
ら、言い争うのはあとにせよ。夏音が呆気にとられているではないか」
うんざりした口調でニーナが声をかける。
「この方は……?」
雪菜が警戒したように訊く。
「大錬金術師ニーナ・アデラートだそうだ。“
賢者の霊血
(
ワイズマンズ・ブラッド
)
”も本来の持ち主っていうか管理人っていうか」
本人に変わって古城が紹介する。うむ、と偉そうにふんぞり返るニーナ。
雪菜と友妃は、そんなニーナの不自然な胸元をじっと眺めている。
「……どうして浅葱ちゃんの姿をしてるんの。それにあの胸は……?」
「あれは古城の趣味だ気にするな」
「俺じゃねぇよ!」
古城が反論する。
「彩斗さん!」
夏音が必死に声を張り上げて叫んだ。ミサイルの衝撃から立ち直った天塚が、怒りの形相で彩斗たちを睨んでいる。
「姫柊!」
古城は背負っていたギターケースを雪菜に渡した。
「ニャンコ先生と煌坂からだ」
「師家様たちから──!?」
雪菜がケースから銀色の武神具を抜いた。“雪霞狼”だ。
彩斗たちを取り巻くように天塚の分身体が、一斉に触手を伸ばして攻撃した。四方から同時に攻撃してくる。
しかし、雪菜は焦ることなかった。
「“雪霞狼”!」
雪菜の銀色の槍が白い光を放った。ありとあらゆる結界を斬り裂き、すべての魔力を無効化する輝きだ。
錬金術師の金属生命体は金属へと戻される。
「
疾く在れ
(
きやがれ
)
、“
龍蛇の水銀
(
アルメイサ・メルクーリ
)
”!」
古城がすべての次元ごと空間を喰らう眷獣を喚びだす。
それは不滅の天塚の分身体を次々と喰らって、この世界から消滅させる。
「ぐっ……」
すべての分身を失った天塚が、屈辱に顔面を歪める。
そんな天塚の前に歩み出たのはニーナだ。
「
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