暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
34.洋上の慮外
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「忍! いたずらに名誉を求めることなく、その存在を陰に隠し、主君のために命を懸ける。ジャパニーズ・ニンジャこそまさに騎士の規範。自分も今回の任務を機に騎士道を極めるべく研鑽して参る所存であります」

「は、はあ。どうも」

 ユスティナの勢いに気圧されて、古城と彩斗も曖昧にお辞儀を返す。ふと気けばモニタの中のラ・フォリアは、懸命に笑いをこらえているような表情を浮かべている。
 さすが腹黒王女様だ、と思ったときに彩斗はあることに気づいて冷や汗が止まらなくなる。

「す、すみません、ユスティナさん」

「はい。なんでしょうか?」

 喉の音を立てながら唾を飲み込む。

「夏音の日常生活を陰で監視しているってことは……まさか──」

「はい。常に一緒におられるあなたのことも見ていますよ」

 それはいろいろとまずいことをこのユスティナ嬢に見られているということ。それは間接的にラ・フォリアに通じることになる。
 恐る恐るモニタの中のラ・フォリアを見ると先ほどは笑いをこらえていたのが嘘のように満面の笑みでこちらを見ている。

「そ、それじゃあ、今回も天塚のことも──」

 これ以上この話を進めると彩斗に悪い状況にしかならない。なので話題を変える。ラ・フォリアは、はい、と首肯した。

『早い段階で事情はつかんでました。南宮攻魔官と協力して夏音の護衛に当たっていたのですが、残念ながらわたしたちは、“魔族特区”の外には干渉できません』

 そう言ってラ・フォリアは残念そうに目を伏せた。

『ですから、彩斗、古城。あなたたちのお力をお借りしたいのです』

「力を貸してもらうのは俺たちのほうだろ」

 ふっ、と息を吐いて、古城は王女に笑いかける。
 ラ・フォリアも夏音を救いたいという気持ちは彩斗たちと変わらない。

「で、これで夏音たちを助けにいくのか?」

「いえ。“ベズヴィルド”の速度では、現場海域に到着するまで十五分以上かかってしまいます。一刻の猶予もない現状、それでは遅すぎる──ですので、これを使います」

「これ……?」

 古城は悪寒に襲われながら呟いた。よく見ると飛行船の武器格納庫らしき部分が開いて、艦載ミサイル発射機に酷似した、装甲ボックスランチャーが姿を現した。

「これ……って、まさか……その発射台に載ってるやつのことか?」

『我が聖環騎士団が所有する試作型航空機“フロッティ”です』

 超然とした口調で、腹黒王女が告げる。

「ちょっと待て。どう見てもこれは航空機じゃないだろ! ただの巡航ミサイルだろ!」

『試作型航空機です』

 王女はにこやかに断言する。

『本来は偵察用の無人機ですが、搭載していた観測機器類を外して、中に人
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