下忍編
ファーストキス
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ことをしたんだ自分、と内心で昨日の自分を罵ったカトナは、ちらりとサスケを伺う。
サスケは相変わらずこちらを見ず、前しか見ていない。この分では本当に彼に嫌われてしまったかもしれない、どうしよう。
サスケに嫌われたくないのに。
うるっと、少しだけ涙が滲みそうになったが、耐えて下を向いたカトナを、実は視界の端で確認していたサスケは、こちらもまた、カトナ同様にどうしようかと頭を抱えた。
彼だって、なにもカトナを泣かせたくて、こんな行為をしているわけではないのである。
―ただ、自分を大事にしない彼女に、どうしようもなく苛立ってしまったわけで。
自分がすねて無視して、それで昨日の行いを反省してくれれば、それでいいかと思って始めた演技(いや、最初の頃はそれこそまじで怒っていて、絶交の事すら視野に収めていたのだが。さすがに、一夜も立てば、怒りも収まる)をどうやって終わらせればいいのか分からないのである。
もともと、二人の間に喧嘩は少ない。サスケとナルトの間ならば、喧嘩はそこそこあるからこそ、どちらともなく、謝るタイミングと言うのがつかめるのだが、サスケとカトナの間の喧嘩は、これが初めてかもしれない。それくらい、したことがないのである。ゆえに、完全に、謝るタイミングを見失ってしまっていた。
「カトナ」
だが、このままではいけないと、カトナを泣かせたくないサスケが、なんとか謝ろうとカトナの名前を呼んだ時。
タイミングが悪いことに、サクラがサスケの横に座り、サスケの背中を叩いたのであった。
いつもならば視野が広く、サクラの存在にも気が付けるサスケであったが、流石に今の状況ではカトナのことしか考えられておらず、予期せぬ方向からの衝撃に、なすすべもなく倒れ込む。
そして、カトナと言えば、サスケから話しかけてくれたという嬉しさで、ぱぁっと顔を輝かせ、丁度上を見上げた時であった。
近づいてくるサスケの顔に、一瞬思考が停止し、そしてカトナの体が固まる。
彼女の、予期せぬ事態に弱いという習性が、ここにおいて迷いなく発揮される。
そして、二人の体が重なった。
より具体的に言うならば、彼ら二人の間の距離が零になり、カトナとサスケの唇と唇が重なった。端的に言うならば、キスである。
ぴたりと、重なり合ったそのぬくもりに、二人の思考が停止した。
「いやあああああああああ!!」
まっさきに声を上げたのは、サスケの背中を押してしまった、このキスの原因であるサクラであった。
そして、サクラの悲鳴に反応し全員が振り返り、彼ら二人のキスの現場を目撃する。一瞬の沈黙、そして次の瞬間、サスケのことが好きな女子の悲鳴が教室内に響き渡った。
なお、この間に本人たちは一切会話しておらず、キスした状態で固まっている。どれ
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