#9『ミラフィ』
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れ持った才能。しかし圧倒的な能力の所為でそれを縦横無尽に振るえない悲劇の存在。そのころには自らの力が何を起こしているのか悟っていたらしいミラフィは、精神的なダメージからかぼろぼろになっていた。
ソフィも似たようなものだったと思う。
彼は生まれついた容姿と膨大な魔力、そして魔術の才能の所為で、周囲からの風当たりが強かった。なぜこんな力を持って生まれついたのだろうと呪ったこともあった。
《七星司祭》の一席を占める男、《古の錬金術師》セルニック・ニレードが、その魔術の才能に目をつけて保護しなければ、もしかしたらソフィはすでにこの世にいないかもしれない。セルニックはいまだにいまだにその素性がよく分からない男ではあるが、その面で言えば第七席のコレイド・エンジェグヌの方がさらによくわからない。そもそも《教会》の高官は素性の知れない人材が多いため、そこまで気にする必要もないだろう、と、ソフィは割り切っている。
セルニックの紹介で、《教会》内の魔術師育成機関で暮らすようになった。もともと魔術に才能はあったが、既に魔術の廃れたこの世界で、それを教える学校などあるはずもない。完全に持て余していた力を、そこでは縦横に振るうことができた。
結果として、特に防御魔術の才能があることが判明した。結界などを重点的に伸ばして言った結果、もはや機関の魔術師の中でその防御力を超えられるものはいなくなっていた。
そんな頃だった。《七星司祭》第四席がとある事情で退位し、新たな司祭がやってきたのは。
ミラフィはすでに死人のような目をしていた。それでも、その奥に強い意志が宿っているのは分かった。彼は、何かを――――何かとても大きなものを、盲目的に、執念深く求めていた。
だがその《願望》は脆かった。誰かがつつけば粉々になってしまうかもしれなかった。
その時、ソフィの中で何かがぴったりとはまったのだ。
自分の防御魔術は、彼を守るために授けられたのだと。自分は、この男に使える運命にあるのだと。
《十字騎士団》は基本的に、仕える主が変わってもメンバーの変更等は無いが、しかし以前の第四席とミラフィは能力の特徴が違いすぎたらしく、第七師団の再編が始まった。集められたのは、防御魔術に長けた魔術師。すでに十分な力をつけていたソフィだったが、念には念を入れてさらにその実力を伸ばした。
結果、ソフィは新出メンバー最年少でありながら、師団長の座を手にしたのだ。
ソフィは、ミラフィが《感動》を求めていることを知っている。彼がその《感動》を見つけるまで、その身を守り抜く。それが、彼ら第七師団の役割なのだ。
「ミラフィ様、もう此所に用はありませんよ。行きましょう!」
ソフィは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ