#9『ミラフィ』
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在した。同時に、ミラフィがこの能力を使っている間、彼は非常に無防備になる。そのため、能力発動中のミラフィを守るために、第七師団は全員が強固な防御魔術を使用できるもので構築されているのだ。
かつて、普通の画家として活動していたころのミラフィは、この力を制御することができず、けが人を発生させるほどの大事件を起こしてしまった経験がある。今ではミラフィもこの能力を制限できるようになったが、つまりは無意識に解き放つだけでとてつもない効果を及ぼす能力である、という事の裏返しだ。
「……結局、覆せない、か……」
――――つまらない。
ミラフィは心の中で呟き、冷たい目で惨劇の余韻を眺めるのであった。
ミラフィの本職は、殺戮者でも司祭でもなく、画家だ。今だ二十を超えたばかりである彼の年齢を考えれば想像できないほど、彼の望みは枯れ切っている。
《七星司祭》の権力を使えば、金も、快楽も、何もかもを手に入れることが可能だろう。だが、ミラフィはそんなものを望んで《七星司祭》になったのではない。
それは、「自分の予想を覆すほどの素材を見つけること」。即ち、彼の「相手の未来を描き替えることができる」という「未来予測」を打ち破ることができる者。どうあがいても書き換えられないほどの未来をもつ存在と出会うこと。
ミラフィは自分の能力の限界を知っている。ミラフィの能力は、強い運命を担っている者の未来を描き替えられない。自分の思うとおりに未来を動かすことができないのだ。一体何が干渉しているのかは知らないが、既に一人、巨大な運命を持つ者の未来を変えようとして失敗した経験があるため、それはほぼ間違いない限界だろうと予測している。
ミラフィはすでに、その限界を知った原因となった、未来を描き替えられない存在と出会っている。だが、そこには一切の興奮や感動は無かった。彼は画家だ。先人たちがそうであったように、自らを深く感動させたものと出会いたい。
彼が《七星司祭》である理由は、つまるところのその《感動》と出会いたいからなのだ。
だが、天はその小さな願いすらなかなか聞き届けない。と言うより《神》とでもいうべき存在を知っているミラフィからすれば、《その存在》がそんな願いを聞き届ける気すらないことは知っているが……とにかく、ミラフィはその《感動》との出会いをさっぱり掴めていない。
これではつまらない。早く自分を感動させる存在に出会いたい。
そんなもんもんとした気分を、自ららの主が抱えていることなど気に留めず、第七師団の面々は勝利の叫びをあげていた。
***
ミラフィ・ルースラビットが初めて《教会》に来た時のことを、ソフィは非常によく覚えている。
彼は貧乏な画家だった。生来生ま
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