#9『ミラフィ』
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もつ魔術。名を、《結界魔術》。ここに居る魔術師たちは、全てがこの《結界魔術》を高レベルで習得した、防御魔術のプロフェッショナルばかりだ。生まれてきた時代が違えば、今以上に名をはせていた可能性がある。
だが、そんな彼らの自慢の魔術も、結界を恐れずに、今度はその障壁自体を狙って攻撃を続ける反逆者たちの執念深い怒りの攻撃によって、徐々に、徐々にほころびを生み始める。
反逆者達の顔に少しだけ希望が見え始めた時――――それは、あっさりと消滅させられた。
結界の障壁の上を、さらに強固な障壁が、瞬く間に蓋っていく。アイスブルーに輝くその結界は、《金剛水晶の陣》。いたってシンプルな名前は、まさに『単純こそ最強』の象徴。この魔術は、結界魔術の中で最強にして最凶の硬さを誇る術なのである。
本来ならば魔力だけで形成される障壁の上から、さらに錬金術の要領で魔力を硬化させた結晶を纏わせる。つまりは、純粋な魔術の力だけでなく、そこそこ錬金術にも造詣が無ければ扱えない、強力な魔術なのだ。
それを扱えるという事は、真実に『強力な魔術師』であるという事。
「ほらほら甘いぞー。そんな事してたら破られちゃうよ。人間って執念深いからねー」
その魔術を放った張本人。緊張感のない声で団員たちに叫ぶのは、宝石のついたヘアリングで長い金髪をまとめた人物。欧州系の白くきめ細かい肌に、碧玉のような水色の瞳。ブラウスめいたローブに身を包んだその姿は、一瞬乙女か妖精のようにも見える。その優美なたたずまいに幻惑された男たちもいるに違いない。だが彼は、それには興味を見せない。
なぜならば《十字騎士団》第七師団団長、ソフィトリア・ゾラールは、少女めいた外見を持つものの、実際のところれっきとした男であるからだ。彼の異名である《結界の呪術師》の名がそれを証明する。なぜならば、《ソーサラー》とは男性形であり、女性形は《ソーサリス》だからである。何度も勘違いをされる容姿であるが、まぁ彼自身はそこそこ周囲の反応を面白がっている節もあったりするため、矛盾している分始末に負えない。
彼のもつ大ぶりの、杖にはめ込まれた宝石が、青白い輝きを強める。それには一切の《刻印魔術》は関連していない。事実、彼の《刻印》である、自分を含む周囲の魔力を回復させる《蜂》は輝きを放っていない。
ソフィトリア―――通称ソフィは、今どき珍しい普通の魔術師なのだ。大地とのつながりが切れたことによって減少した純粋な魔術師は、全箱舟を探しても3000人に満たないのではないかと言われている。
ソフィが率いる第七師団は、その3000人の中から、防御魔
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