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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第440話】
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らんが。


「まあそんなわけで、厳密に言うと、あの二人の意見と力があったからこそ組み上げる事が出来たの。 ヒルトくん、一度君も整備の事、誰かに訊いてみると良いわよ? ほら、本音ちゃんも整備科いくつもりだし、一年生でも他にも既に整備科に転向するつもりの子もいるらしいから」

「そうですね、時間があれば訊いてみます」

「うん、素直なヒルトくんに……はい、ご褒美♪」


 そう言って口元にシュークリームを差し出す楯無さん、甘い香りに、お腹の音が鳴るとクスクスと微笑んだ。


「ほら、あーんして? おねーさんが特別に食べさせてあげるから」

「やっ、別にいいですよ。 ひ、一人で食べれますし」


 そう言って断るものの、何故か瞳をウルウルと潤ませる楯無さん。


「うぅ……ヒルトくん、何だかおねーさんにだけ冷たくない? 他の子のなら食べるのに、おねーさんだけ断るなんて……」

「あ、いや……は、恥ずかしいんですよ、食べさせるのも、食べさせられるのも!」


 事実、これを平然とやってのける一夏の脳みそがおかしいのではと思う。

 今は人目が無いものの、だからといって恥ずかしさはあるのだから可能なら遠慮したいのだが――楯無さんの潤ませた眼差しを見てると、断るのも悪いと思ってしまい。


「ひ、一口だけ、ですよ」

「ウフフ♪ おねーさん、ヒルトくんのそういう所好きよ?」

「はいはい、じ、じゃあ口を開けますから……」


 好きという言葉を軽く流しつつ、口を開く。

 楯無さんはシュークリームを一口サイズにちぎると、それを俺の口元へと運ぶ――指先が僅かに唇に触れ、ドキッとする間もなくシュークリームが口内へと滑り込んだ。

 一口サイズとはいえ、甘いクリームの味が口内に拡がるのを感じ、満足に咀嚼をする俺。

 その俺が食べる姿を満足そうに見つめ、頷く楯無さん、端から見ればカップルかもしれないが、残念ながら立場的には俺は部下みたいなもので、彼女からは恋愛対象には見られてないだろう――強いてあげるなら、手のかかる弟に見えてるはずだ。

 ――と、楯無さんが一口シュークリームを頬張りながら。


「ヒルトくん、簪ちゃんの事よろしくね? あ、後、あの子もそうだけど、女の子は皆押しに弱いから、押せ押せで行けば簡単に落城するわよ」


 多分嘘だ、押せ押せで簡単にいけば世の中苦労しない。

 シチュエーションをイメージしても、多分徒労に終わるだけなので俺はイメージしないようにした、というか押せ押せで女の子に執拗に迫っても下手すれば逆効果の可能性もなきにしもあらずって所だろう、これが。


「はいはい、そんな簡単に女の子が落城したら、女尊男卑じゃないじゃないですか」

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