第三話 田母神少佐!名前は気のせいだ!その九
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「互いにだ」
「切磋琢磨ですね」
「磨き合うものですね」
「鍛錬はすべきだ」
それは、というのだ。
「しかしそれはだ」
「一人よがりになってはならない」
「絶対に」
「そうなのだ、それでは歪みかねない」
これは空手のことだけではなかった。
「人としてもだ」
「その心もですね」
「それもまた」
「身体だけを鍛えていいのではない」
そうだとも話す田母神だった。
「心も鍛えなくてはならない」
「お互いにですね」
「磨き合って」
「そうなのだ、私もまた」
「少佐も」
「と、いいますと」
「君達と共にだ」
若者達と、というのだ。
「いてだ、そのうえで」
「ご自身をですか」
「磨かれているのですか」
「私は君達の友だ」
それになるというのだ。
「だからこそだ」
「切磋琢磨されているのですか」
「私達と共に」
「そうしている」
こう言うのだった。
「常にな」
「あの、しかしです」
「少佐は我々の師です」
「ですから」
師匠と弟子だ、この関係にあるからだというのだ。
「切磋琢磨は」
「違うのでは」
「確かに私は君達の空手においての師になる」
それはその通りだと答える田母神だった、
「実際にな」
「そうです、我々は教えて頂いています」
「師ですから」
「切磋琢磨は」
「違うのでは」
「師であり友であるのだ」
ここでだ、田母神は若者達にこう言ったのだった。
「私達はな」
「師であり友である」
「そうなりますか」
「師友だ」
それだというのである。
「我々はな」
「師友ですか」
「師匠と弟子の間柄であり、ですか」
「そして友人同士でもある」
「そうなのですか」
「その通りだ、私もまた人生のことを君達から教えてもらっている」
空手を教えると共に、というのだ。
「そのうえで友人同士なのだからな」
「だからですか」
「我々は只の空手における師匠と弟子ではなく」
「師友なのですね」
「人生という広い意味においても」
「だから私もだ」
田母神もというのだ。
「切磋琢磨しているのだ」
「少佐も」
「そうですか」
「私達は師友だ」
またこう言う田母神だった。
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