第三話 田母神少佐!名前は気のせいだ!その八
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「少佐の空手ならば」
「そうですね、ところで」
源田はここでだ、西郷に問うた。その問うたこととは。
「宜しいでしょうか」
「鈴木少佐のことでごわすな」
「はい、少佐は無事でしょうか」
「命に別状はないでごわすが」
それでもとだ、西郷は源田に難しい顔で答えた。
「しかしでごわす」
「重傷ですか」
「安静にしてもらっているでごわす」
今は、というのだ。
「怒りを感じているでごわすが」
「そうですか」
「ジャスティスカイザー、悲しいことでごわす」
西郷は目を閉じた、そのうえで言うことは。
「おいどん達に異論があるのなら正々堂々と言えば」
「はい、その時は」
「議論で向かいますが我々も」
源田だけでなくハルトマンも言う。
「しかしああして卑怯卑劣に徹するということは」
「あまりにもですね」
「嘆かわしい」
「元老はそうお考えですか」
「果し合いにしても」
西郷は瞑目したまま語る。
「あの様なやり方はしてはならないことでごわす」
「では元老はジャスティスカイザーを憎んではおられないのですか」
「その様なお考えは」
「ないでごわす」
憎しみ、それはというのだ。
「決して」
「悲しみがある」
「そうなのですね」
「その通りでごわす」
西郷は彼等にそれを感じていた、その卑怯卑劣に対して。
そのうえで田母神とジャスティスカイザーとの果し合いを見守ることにした。奈良の空手の道場でだった。
一人の姿勢のいい空手着の男が瞑想していた、その彼に対して。
澄んだ目の青年達、空手着を着た彼等がだ。こう問うた。
「田母神少佐、宜しいでしょうか」
「質問があります」
「何だ」
その男田母神は彼等の言葉に応えて目を開けてだ、彼等に言葉を返した。
「質問があるとは」
「はい、鍛錬のことです」
彼等が問うのはこのことだった。
「それは日々行うこと」
「そういうものですね」
「その通りだ、鍛とはだ」
それは何かとだ、田母神は自身の前に正座をした彼等に話した。彼も座禅から正座になってそのうえで話す。
「千日のものでだ」
「そして錬とはですね」
「それは」
「一万日のものだ」
それが錬だというのだ。
「それ故にだ」
「鍛錬とは長く続けてこそですね」
「結果が出るのですね」
「人は一日や二日で結果は出ない」
「何年、何十年も己を磨き」
「そうしてこそですね」
「そのうえで結果が出るものだ」
それが人間だとだ、田母神は自身の目を見る若者達の目を見てそのうえで話す。
「それ故にだ」
「我々もですね」
「日々修行し」
「そして、ですね」
「己を磨くべきですね」
「その通りだ、そして君達はだ」
彼等はというと、若き者達は。
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