第百五十四話
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第百五十四話 ある日の食卓
小田切君は博士の研究室で夕食を食べていた、それは何かというと。小田切君はそれを出した博士に対して尋ねた。
「あの、今日の御飯は」
「うむ、趣向を変えてな」
そしてと言う博士だった。
「レーションにしてみた」
「レーションってあれですね」
「そうじゃ、軍隊の携帯食じゃ」
それだった、缶詰やらパックに詰められているものだ。
「それじゃ」
「というと自衛隊からのものですか」
「いや、わしが作ったものじゃ」
博士の手によるものだというのだ。
「少し研究で作ったのじゃ」
「へえ、博士が研究開発されて」
「自衛隊のものを参考にしてな」
自衛隊のものではないが参考にはしているというのだ。
「作ったみたのじゃ」
「別に拷問で食べさせるものじゃないですよね」
「それはレーションではないぞ」
博士もそのことは安心しろとだ、小田切君に返した。
「普通に食べられるものじゃ」
「ならいいですけれど」
「こうした食事を考えることも必要じゃ」
「腹が減ってはっていいますからね」
「そうじゃ、誰でも食わぬと動けぬ」
例え二百億歳生きている博士でもだ、尚博士が不老不死ではないかという説は最早言うまでもないことである。
「だからこうしたものもな」
「研究されてるんですね」
「缶詰を開けると飯があるぞ」
「へえ、缶詰の中に御飯ですか」
「うむ、それが自衛隊なのじゃよ」
「それはまた面白いですね」
小田切君は博士の言葉を聞いて目をし瞬かせて応えた。
「そういうのもあるんですね」
「他にもパック詰めはあっためれば温かく食える」
「そうしたことも考えてるんですね」
「雪の進軍の頃とは違うぞ」
あの寒さに凍える行軍とは、というのだ。
「温かく美味いものを食わねばな」
「駄目なのが今の軍隊なんですね」42
「時代は変わったのじゃ」
かつての戦争の時代、日露戦争ひいては第二次世界大戦の頃とだ。
「美味いものを食って士気を維持するのじゃ」
「それが第一ですね」
「それでわし等もな」
「こうしてですね」
「レーションを食するのじゃ」
そうしようというのだ、そして小田切君の食べた感想はというと。
美味かった、それに尽きた。小田切君にとって博士が研究開発したレーションの味はいいものであった。
第百五十四話 完
2014・7・25
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