空白期 第11話 「レヴィとお出かけ」
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ぇすずか、いつからフェイトはこんなに子供っぽいというか……大食いになったのかしら? あたしには記憶がないんだけど」
「ボクはへいとじゃないよ」
その言葉に、バニングスの視線はレヴィへと向いた。彼女は見知らない人間と相席しているにも関わらず、呑気にケーキを食べ続けている。この子に勝てるマイペースはそうそういないだろう。
「えーと……フェイトよね?」
「ちがうよ〜」
「……フェイト……じゃない?」
「そうだよ〜」
困惑するバニングスの視線は数秒宙をさまよった後、現状が説明できる俺へと向いた。どうやら彼女も違いすぎる言動にフェイトではないと認め始めてくれたらしい。
「この子はレヴィ・ラッセルって言って……」
「レヴィ? ……どっかで聞いたような」
「アリサちゃん、この前なのはちゃん達が言ってたフェイトちゃんにそっくりの子のことじゃないかな?」
月村の発言にバニングスはハッとした顔をした。それと同時に、俺の中にあった疑問は解消される。
――何で月村がレヴィに驚かないのか不思議だったけど、高町達から聞いてたのか。でもパッと見ただけじゃフェイトに間違いそうだけど……彼女は普段から人のことをよく見てそうだからフェイトじゃないって感じたのかもしれないな。
「ああ……話には聞いてたけど」
「ここまでそっくりだとびっくりだよね」
「いや〜それほどでも」
「別に褒めてないんだけど」
バニングスのツッコミは、レヴィが照れた素振りを見せるのとほぼ同時だった。そのあまりの速度には正直言って感心した。だからといって尊敬したりはしないが。
最初こそ戸惑いもあってぎこちなかったが、レヴィの性格もあって徐々に会話は弾んでいく。その一方で、女の子の中に男ひとりという状況に居心地の悪さを覚える。俺はそれを誤魔化すようにコーヒーを口へと運んだ。
「レヴィちゃん、ずっと思ってたんだけど……そんなに食べて平気なの?」
「だいじょぶだよ」
「そ、そっか」
見ているこっちが満腹になりそうなので月村の気持ちも分かる……が、別の意味があったようにも思える。女子というものは体重を気にするものだ。普通に考えれば、レヴィほど食べれば必然的に体重は増えるはず。だが彼女の体型は標準だ。いったいどういうからくりなのだろう?
「ん? ショウどうかしたの?」
「いや……本当によく食べるなって思っただけだよ。……俺のも食べるか?」
「え、いいの!? 食べる食べる!」
ケーキを彼女の前に移動させると、嬉々とした顔で食べ始める。先ほどの注意はすでに忘れてしまっているのか、食べる勢いは凄まじい。言うまでもなく口元はひどい有様だ。拭いてもまた汚すのだろうが、幼児でもないのにこのままというのもあれなので再び拭くことにした。
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