空白期 第11話 「レヴィとお出かけ」
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ている2人組を視界に納めてしまったからだ。
何度も咳き込む俺を心配してレヴィが背中をさすりに来てくれた。大食いの彼女が食べ物よりも俺のことを心配してくれたことは嬉しく思うのだが、口の中は綺麗にしてから声をかけてほしい。
「だいじょ〜ぶ?」
「あ、ああ……レヴィ」
「なに?」
「ちょっとじっとしてろ」
あまりにもレヴィの口の周りが汚れていたため、俺はハンカチを取り出して彼女の口元を拭く。この間に立ち去ってくれないだろうか、と淡い期待という名の現実逃避をしてみたものの、一層強まった視線によって打ち砕かれた。
「えへへ、ありがと〜」
「誰も取ったりしないから、もう少しゆっくり食べような」
「うん」
自分の席に戻ったレヴィは、幸せそうな顔を浮かべながらケーキを食べ始める。俺は深いため息を一度ついた後、意識を2人組のほうへと向けた。
「こんにちわ」
「邪魔して……悪いわね」
月村はいつもどおりの笑顔であるが、バニングスは驚きや気まずさといった様々な感情が混ざった顔をしている。
それは当然といえば当然だ。レヴィとフェイトは髪色や性格の違いこそあれ、慣れなければパッと見ただけでは区別がつかないほど瓜二つだ。きっとバニングスの中では、俺とフェイトが一緒に食事をしていた。フェイトが口周りを汚し、それを俺に綺麗されていた……などの驚愕があるに違いない。
「バニングス……君は確実に誤解してる」
「誤解って何よ? 別に変に言い訳しなくてもいいわ……ところで、すずか。あんたは何でそんなに笑ってるわけ?」
バニングスはすぐには認められないのか(誤解なので認められるのは困るのだが)、月村へと意識を向けた。本来ならばバニングスの反応が正常であるはずなので、俺も彼女の笑顔には疑問を抱いていた。いったい何を考えているのだろうか。
「え……あぁうん、ショウくんもオドオドするんだなぁって思って」
「何でそれで笑うのよ!?」
「うーんと……可愛く見えたから?」
「あんたのことなんだから疑問系で答えるんじゃないわよ。というか、あいつは男よ。可愛いとか言ったら傷つくでしょうが!」
言っていることは正論ではあるが、まさかバニングスが俺の味方をしてくれるとは思わなかった。先ほどの俺のように現実逃避でやっている可能性はあるが。
「アリサちゃん、あまり大きな声を出すと周りの人に迷惑だよ」
「あ、あんたね……」
「ショウくん一緒にいいかな?」
いつもと違ってマイペースに話を進める月村に疑問を抱きながらも、誤解を解くためにも会話は必要であるため、俺は彼女の提案を承諾した。バニングスは何を言っているんだ? と言いたげな顔を浮かべたものの、ひとりで他の場所に座るのも嫌なのかしぶしぶ席に付いた。
「ね
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