2ndA‘s編
第十一話〜在り方〜
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れが飲み込んだのだ。取り込むように。彼女を否定するように。
『これ以上亡くさせるものか!!』
初めてまともに拾えた音声は青年の叫びであった。
海鳴市・結界内
目の前で起きたことを理解するのに自分でも情けないほどに時間が掛かっていると、そう頭が理解するよりも先に身体が動き出していた。
これまで沈黙を保っていた闇の書の蛇が突然増殖し、膨れ上がると隣にいた管制人格を取り込んだ。それと同時に濃密な魔力が光を放ち膨れ上がり始めると、ライはそのまま前に踏み込んだのである。
もちろん、バリアジャケットも展開せずにビルの淵に立っていたライはそのまま自由落下を始める。傍から見れば投身自殺以外の何ものでもないのだが、ライの本能の部分があの場から一秒でも早く、逃げ出すことを選択していたのだ。
そして頭から落ちながらも、その機械的な音声はライの耳に届いた。
『管制人格、機能不全――闇ノ書完全起動マデ自己防衛権ヲ防衛プログラム、ナハトヴァールニ移譲――コレヨリ脅威認定個体ノ殲滅ヲ優先』
(機能不全?彼女が生きたいと望んだことが?ただ当たり前を望むことが?)
言葉を理解した瞬間、何かタガが外れるのを自覚する。
皇歴の世界でも、数える程しか経験したことのない激情。それを確かに自分の内に感じる。
「――――っざけるな……」
落下スピードが増していき、とうとう地面まで数メートルという高さになったところで、蒼月が自己判断でバリアジャケットを展開する。
それに合わせるように、ライは落下に沿うようになっていたビルの壁を蹴りつけると、真横に飛ぶようにして大通りへ滑るように着地した。
「これ以上亡くさせるものか!!」
着地と同時に顔を上げると、浮かんでいる蛇の塊に向けて、ライは叫びを上げた。
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