暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
2ndA‘s編
第十一話〜在り方〜
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に、彼女の意識は闇に飲まれた。



地球衛星軌道上・アースラ


 緊急事態を告げるアラームが鳴る中、リンディは歩き慣れたブリッジまでの通路を走っていく。彼女はアースラに戻ってきてから、医療班に四人を預け、制服に着替えることもせずに行動をしていた。
 普段、デスクワークが主な役職であるため、訓練生時代程の身体能力がないことにやきもきしながら、目的地の扉を目指す。そして走りにくいスカートを破いてスリットでもいれようかと思い始めた頃、目的地の扉に到達し、ブリッジに入ると同時に声を張り上げた。

「状況は?!」

 艦長として声を出すことが多いため、走った直後であってもその声はよく響いた。
 ブリッジクルーは彼女の声が聞こえる前から忙しなく動く手を止める事なく、作業を続けていく。

「艦長、現在闇の書の管制人格は……あー、えっと……所属不明の魔導師と対峙しています!」

 一瞬言葉に詰まりながらもしっかりと報告してきたのは、クロノの副官でもあるエイミィ・リミエッタであった。
 彼女の言葉通り、ブリッジの投影型正面スクリーンには管制人格である女性とビルの淵に立つライの姿が映し出されていた。
 その映像を見据えたリンディはライがバリアジャケットを纏っていないことに息を呑むが、なんとかその動揺を部下に悟らせることなく艦長席に座る。その動きはごく自然で、彼女の感情が私情を切り離している事の証明となった。

「彼らの会話を拾える?」

 座席についてから改めて画面に向き直ると、開口一番そう告げる。スクリーンに映し出されている映像は二人を同時に映し出しているが、音声までは拾えておらず、更に言えばその映像も解像度が綺麗とは言い難い。かろうじて二人の口元が動いているのが分かる程度だ。

「サーチャーで音声は拾っていますけど、ノイズが多くて……」

 エイミィからの申し訳なさそうな声に、内心で苦笑しながらもその視線はスクリーンから離れることはない。

(せめて、彼――ライ・ランペルージがどのような結末を望んでいるのかさえ分かれば……)

 現場に立つ唯一の魔導師がどう動くのかさえ予測できないアースラ側からすれば、今現在指を咥えて見ていることしかできない。アースラ側の主戦力である魔導師達は軒並み魔法戦闘ができる状態ではないのだから。

「エイミィ、サーチャーを近づけて音声を拾えるように。それと彼との通信を――――」

 手早く指示をし始めると“ソレ”は起こり始めた。

「…………………食べた?」

 ブリッジクルーの誰かがそう呟く。
 スクリーンを見ていた人間が発したその言葉を否定するものはいなかった。
 これまで動くことなく対峙していた二人。その片方である管制人格を、隣に浮いていた闇の書が纏う蛇の群
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