アカデミー編
卒業
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!? とイルカは目を見開く。
見たことがある、赤いチャクラ。以前、イルカの両親を殺した狐が持っていたチャクラ。
何故それをナルトが、持っているのだと。九尾の人柱力は、カトナではないのかと。
目を見開いたイルカを無視し、カトナは左手でナルトの手に触り、右手でイルカの傷口に触り、集中する。
みるみるうちに、イルカの中にあった血管の不純物が取り除かれていく。白血球がチャクラにより刺激され、血管内を蹂躙するはずだった毒を破壊し、イルカの体を健康にしていく。
その間にも、カトナの手は止まらず、イルカの傷口が治っていく。繊細に、けれど尋常ではない速度で。
そして、数十秒の沈黙の後、カトナは、ふっと集中するのを止める。
「…できた」
その言葉どおり、もう、イルカの怪我は全て治っていた。
ぽかんと、呆気にとられながらも自分の背中を触って確認したイルカは、カトナとそしてナルトを見比べ、二人の頭を撫でた。
「二人とも、ありがとうな」
「…きかないの?」
聞かれると覚悟していたのに、なのに、聞かないイルカに二人同時に不思議そうに彼を見れば、イルカは笑った。
「お前らが聞いてほしいって、自分から言う日が来るまで、俺は聞かないよ」
真実を知りたい気持ちはある。けれど、二人を傷つけてまで聞き出す意味はない。
そう言ったイルカに、どちらともなく、彼ら二人は少し照れくさそうに笑って顔を合わせた。むずむずとした、温かい気持ちが胸を満たすのを感じる。どうしようもなく照れくさくて、どうしようもなく暖かくて、そんな二人を眺めていたイルカは、ふと、悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
「二人とも、目をつぶってくれ」
いきなりのその言葉に首をかしげながらも、両方とも目をつぶる。暗闇だけが見える世界の中、暖かい手が額に触れる。
「まだだってばー、イルカ先生?」
「ナルト、はじめたばっか」
「よしっ、もう目を開けて、いいぞ」
時間にすれば、数分程の事だろう。
どちらともなく、目を開けて、そして二人は、お互いの額にある、木の葉の里の額当てを見て、そしてイルカを見た。
「卒業、おめでとう」
その言葉に、二人は同時に抱き着いた。
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