第五話 小鷹の妹
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前の妹?阿呆なのか?」
「違うわ??小鳩ちゃんは少しおつむが足りないだけだ??」
それからたっぷり一時間。小鷹と夜空は小鳩の説得に持てる言語力の限りを尽くしたのだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「は〜…昨日は疲れたな…」
「誰のせいだと思ってるのさ…」
昨日の小鳩ちゃんの勘違い事件から一日が経過し、小鷹と夜空は同じバスで辟易としていた。小鳩の勘違いを正すのは口八丁が得意な夜空でも骨を折った。結局、小鷹がその日の晩御飯にこってり豚骨ラーメンを作ることでとりあえず手を打った。手の打ち方は単純な物で親に言わないと言うごく単純な物だった。もしも父親に知らされたら少し面倒なことになる。
「お前の妹…なんだよな、あれ?」
「そうだよ…悪かったね。あんな可愛い天使がボクの妹で。」
ーいや、その目つきさえ直せばお前はあの妹にも負けないくらいの美人さんだぜ?
と、言いそうになった。だがやめた。理由は今この状態で言ったとしても過剰に卑屈な小鷹は皮肉と受け取ってしまうと考えたからだ。それは良くない。今でさえ卑屈なのだ。これ以上は良くない。だから、夜空は心に思ったこととは逆の言葉を発する。
「ああ、そうだな。お前の妹があんなのなんてびっくりしたぜ。突然変異ってすごいよな。」
「ぐっ…言い返せない自分が悔しい…」
頭を抱える小鷹。そんな姿も面白く思えてしまう。
ーこれは、親バカのようなものか?
そう思う夜空なのだった。
六時間目終了のチャイムが鳴り、小鷹は帰る支度を始める。夜空はと言うと
「って、居ないし…」
六時間目どころか、朝一緒に登校してから教室で一度も見たことなかった。サボったのだろう。あの人は…と、ため息を尽きながら夜空のいそうな場所を少し考えてみる。そんな時だ。
「ちょっと。」
「へ?あっ……なんですか?」
小鷹に話しかける声があった。小鷹に話しかける人など夜空しかこの学園ではおらずいたとしても直ぐに逃げていく人ばかりだったのだが、今回は違った。いつもなら喜ぶべきことなのだが、これはダメだ。彼女はダメだ。柏崎星奈だけは、ダメだった。
「あの、なんですか?」
一行に話し出さない星奈に催促する。これくらいは許されるだろう。この前あんな酷いことを言われたのだから。
「あんた、隣人部とかってのを夜空の奴とやってるんでしょ?」
「それがなにか?」
「入ってあげてもいいわよ。」
「お帰りはあちらですので下僕共を連れて気をつけてお帰りください。」
「ち、ちょっと待ちなさい!そんな引っ張らないで、てか力強!何あんたゴリラなの??」
仕方ないので話してやる。まったく、めんどくさいお嬢様だ。
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