第二十話 錬金術その九
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「だからさ、これからも」
「歌ってそうして」
「ああ、派手にやるよ」
そうすると言ってだ、二人でだった。
そのカラオケボックスに向かおうとする、しかし。
ここで後ろから薊を呼び止める声がしてきた、裕香も。二人でその声の方を振り向くとそこにはだった。
向日葵がいた、向日葵は二人に笑顔でこう言った。
「偶然ね」
「あれっ、向日葵ちゃん確か」
「檀家の方に」
「終わったのよ、早くね」
笑顔でだ、向日葵はこう二人に話した。
「だからね、ちょっと街に出たけれど」
「そこでか」
「私達を見て」
「そうなの、それにしてもね」
向日葵は二人と笑顔で話しながら服を見てだった、こう言った。
「薊ちゃん私服も赤なのね」
「そういう向日葵ちゃんこそな」
薊は淡い赤のシャツとエンジ色のジャケット、それにスカーレッドのズボンだ。勿論靴も赤い。
そして向日葵はだ、オレンジのミニスカートに蜜柑色のブラウスに濃いオレンジのカーディガンを羽織っている。全体的にふわりとした服装だ。
その彼女を見てだ、薊は笑いながらこう言った。
「オレンジじゃねえか、今も」
「私のイメージカラーだからね」
「あたしの赤と一緒だな」
「そうね、それを言ったら一緒ね」
「そうなるよな」
「ただ、薊ちゃんってひょっとして」
向日葵はその薊にこう言うのだった、今度は。
「私服はズボンなの?」
「ああ、そうだよ」
その通りだとだ、薊はすぐに答えた。
「制服はスカートだけれどな」
「私服はいつもズボンなの」
「ズボンが一番動きやすいからな」
だからだというのだ。
「いつもこれだよ」
「そうなのね」
「私服でスカートってな」
それはというのだ、薊にとっては。
「どうにもな」
「落ち着かないのね」
「そうなんだよ」
あまり、という口調での言葉だった。
「あたしはさ」
「そこ薊ちゃんらしいわね」
「だろ?自分でも言うけれど男っぽいからな」
「ボーイッシュね」
「そうなるのかよ」
「うん、前から思っていたけれどね」
向日葵はにこにことして薊に語る。
「薊ちゃんボーイッシュよ」
「男みたいじゃなくてか」
「うん、ボーイッシュよ」
「何かそう言われるといい感じだな」
「実は胸も結構あるしね」
向日葵は薊のこのことも言った。
「お尻の形もよくてウエストも締まってて」
「おいおい、あたしアイドルじゃないぜ」
「アイドルじゃなくても」
それでもだとだ、向日葵はにこにことしたまま言葉を続ける。
「薊ちゃんはね」
「ボーイッシュかよ」
「うん、そっちよ」
男みたいではなく、というのだ。
「そうした魅力もあるじゃない」
「女の子らしくなくてもいいのかよ」
「全然大丈夫でしょ、ねえ」
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