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ドリトル先生と伊予のカワウソ
第六幕その十二

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「阪神はどれだけ弱くとも人気があるのにのう」
「広島はそうはいきませんね」
「阪神はまた別じゃな」
「華がありますよね」
「わしは巨人は嫌いじゃが阪神は嫌いではない」
「私もです」
「ファンではないがな」
 それでもだというのです。
「四国の狸も二つに分かれておるわ」
「プロ野球のファンは、ですね」
「讃岐や阿波の連中は阪神じゃ」
 昔のお国の名前で言うのでした。
「甲子園に近いだけにな」
「そしてこの愛媛はですね」
「カープじゃ、土佐は半々じゃな」
「そうなのですね」
「まあ巨人でなければよいが」
「それでもですか」
「ここの連中でも最近のう」
 長老さんは他の狸さん達を見回しつつ残念そうに言うのでした。
「阪神ファンが増えておる」
「虎キチがですね」
「おい、聞いておるな」
 長老さんは苦笑いになって狸さん達に言いました。
「実に豊よ」
「はい、聞いてますよ」
「しっかりと」
「他にもおるからのう、大勢」
「何か鯉はここでも劣勢になってきましたね」
 加藤さんも残念そうに言うのでした。
「うちの子供も阪神贔屓で」
「いかんのう、それは」
「カープは弱いですね」
「いかんな、もう一度黄金時代にならねばな」
「はい、栄光を取り戻さないと」
「人気は戻らん」
「まずは強くなってこそですね」
 お二人のお話が真剣味を強くさせていました、そして長老さんは先生にも尋ねるのでした。
「先生はイギリス人じゃから野球は興味がないか」
「いえ、実は最近」
「何と、興味を持たれたのか」
「はい、プレイはしませんが」
 それでもだというのです。
「観戦は好きです」
「では贔屓のプロ野球のチームは何処じゃ」
「神戸に住んでいますし観ていて楽しいので」
 このことは申し訳なさそうにです、先生は長老さんに答えました。
「阪神を」
「そうなるか、仕方ないのう」
「面白いチームですね」
「あのチームは何をしても華があるからのう」
「他のチームと違うと思います」
「まあ巨人でなければよいわ」
 先生にもこう言う長老さんでした。
「そういうことじゃ、ではカワウソ連中のことはな」
「はい、お話してきます」
 このことはしっかりと約束する先生でした、先生の松山での観光は坊ちゃんとは全く違った方向に向かうのでした。
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