第六幕その十一
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「あれが一番じゃ」
「和式ですか、僕としましては」
「先生はやはりじゃな」
「はい、洋式の方がいいですね」
おトイレは、というのです。
「そちらの方が」
「そこはやはりな」
「文化の違いですね」
「そうじゃな」
長老さんもそうだと言います。
「まさにのう」
「その通りですね」
「ふむ、日本とイギリスではそこが違うのう」
「お風呂事情やおトイレの事情も」
「国が変わればじゃな」
そうなることをお互いに確認しました、しかし今の先生はといいますと。
「じゃが今の先生はな」
「僕はですか」
「日本人に見える」
「最近よくそう言われます」
「雰囲気や物腰もな」
そうしたところもというのです。
「日本人の感じじゃな」
「そうなってきていますか」
「かなり馴染んでおられるな」
「本当に日本が僕に合っているみたいですね」
「嬉しいことじゃ」
「そのことがですか」
「うむ、わしも日本の狸じゃ」
日本で生まれ育ってきています、それならというのです。
「それに親しんでくれているのならな」
「喜ばしいことなのですね」
「そうじゃ、ではこれからもどんどんな」
「日本に親しんで、ですね」
「そうして暮らしてくれれば何よりじゃ」
長老さんはお風呂とお酒ですっかり赤くなっているお顔で自分と同じく赤くなっている先生にこう言うのでした。
「松山もよいところじゃが他の場所にも行かれるとよい」
「日本は素晴らしい場所が多くありますね」
「広島に行けばカープじゃな」
「あっ、長老さんも」
「うむ、広島ファンじゃが」
「それでもですか」
「今度優勝するのは何時じゃ」
野球のお話にもなるのでした。
「全く、気が遠くなる程優勝しておらぬ」
「二十年以上ですよね」
「これでも創設以来のファンじゃ」
長老さんはこのことに誇りも見せて語りました。
「まあ創設から二十五年も優勝しておらんかったが」
「そうですよね、昭和五十年の初優勝まで」
加藤さんもここで言います。
「長かったんですよね」
「そこから黄金時代になったがのう」
「それが終わってから」
「うむ、今に至る」
そうなったとです、長老さんは無念のお顔でお話しました。
「このままでは初優勝までの二十五年をな」
「超えますよね」
「巨人なんぞ優勝せんでいい」
長老さんは加藤さんとお話しながら本音を漏らしました。
「カープが優勝すればよい」
「全くですね」
「やれやれじゃ」
長老さんはこうも言いました。
「全く、あの頃はよかった」
「山本、衣笠がいてくれていて」
「九十一年まではよかった」
「あの頃までは力がありましたね」
「それがどうじゃ、今はな」
「あまり注目もされていませんし」
「影が薄くなった
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