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ドリトル先生と伊予のカワウソ
第六幕その九

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「腰も肩もな」
「どちらもですね」
「膝とかもな」 
 そうした場所もというのです。
「痛くもないし疲れも取れておる」
「まさに道後温泉のお陰ですね」
「温泉はよいものじゃ」
 実に、というのです。
「これからもずっと入っていたいものじゃ」
「私も、それでは」
「折角松山におるのならな」
「時間があればですね」
「入って楽しみながらな」
「癒すべきですね」
「無駄に腰や肩を疲れさせたままでもいいことはない」
 実際に加藤さんは今ご自身の腰と肩が癒されてきているのを感じています、長老さんはその加藤さんにお話すのです。
「何もな」
「全く、ですね」
「そうじゃ、ただ先生はな」
「イギリスでは、ですね」
 先生は穏やかな笑顔で長老さんに応えました。
「温泉というものは」
「お風呂自体がのう」
「あまり、ですね」
「そうじゃったな」
「シャワーで済ませる人が殆どです」
「わしはどうもな」
 ここで難しいお顔になってお話した長老さんでした。
「イギリス、欧州の風呂場は便所と一緒になっておるな」
「はい、シャワールームとトイレが」
「あれがな、どうもな」
「駄目ですか」
「何で風呂場と便所が一緒なのじゃ」
 理解出来ないというお顔です。
「わからぬ」
「シャワーだけですから」
「それでか」
「はい、別に一緒でも」
「欧州では構わぬのか」
「特にです」
「文化の違いかのう」
 そうしたことについても、というのです。
「それもまた」
「そうなりますね」
「どうしてもな」
 長老さんは今も理解出来ないといった感じです、そのことを隠していません。
「あれは駄目じゃ」
「長老さんの言う通りだよ」
「何で一緒にあるのかな」
「お風呂とおトイレは別々じゃないとね」
「何か嫌な感じがするっていうか?」
「汚い?」
「そう思うよね」
 他の狸さん達もこう言うのでした、そのことについて。
「今ここにある温泉の中に便所があるって思ったら」
「物凄く嫌だよね」
「気持ち悪いよね」
「うんうん、汲み取りとかね」
「そんな感じがするから」
「何でも昔欧州はあれだったそうじゃな」
 長老さんはまた先生にお話しました。
「穴だけで二階から街の端に落ちるだけの便所だったそうじゃな」
「はい、それで道の端はです」
「相当汚かったのじゃな」
「ゴミや汚物で一杯でした」
 欧州の街の道路の端々はというのです。
「あまりにも不潔だったのでペストと流行りました」
「日本にはない病気じゃな」
「一度も流行していませんね」
「天然痘や赤痢はあったがな」
 ペスト、黒死病はというのです。
「そんなものはない」
「それはいいことだね」
 ここでこう言ったのはホワイティでした。
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