第6章 流されて異界
第98話 ここは文芸部?
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確かに不可能では有りません。しかし、そんな事が今の俺に可能だとも思えません。
これは大きな意味で言うのなら、歴史に対する介入。
彼女や、長門有希。それに朝倉涼子が生き残って、それでも歴史に大きな影響を与えないと言う確証がなければ、このような介入は許されるはずはなく、まして、それこそ千年万年先までの大まかな歴史の流れを俯瞰出来る存在が関わっていなければ、こんな事が為せるはずもないのですが……。
そもそも、今年の七月七日までの彼女らに、この世界での天命と言う物は存在しなかったはずですから。
長門さんたちは、この世界の涼宮ハルヒの妄想が産み出した高次元意識体の造り出した人工生命体。
片や朝比奈さんは、本来、その方向に向かって進む可能性の低い……時間航行装置が発明された未来からやって来た未来人。
どちらも、この世界に取っては異分子以外の何者でもない存在ですから。
「それで、武神くんは紅茶が良いですか。それともコーヒー?」
自らの異世界同位体と言う存在の不可解さに少し思考を巡らせていた俺。つまり、普段通り少しぼぅっとした状態に成って居た俺から、その視線を机の上に並べられた大量の菓子パンに移した朝比奈さんがそう問い掛けて来る。
おっと、イカン。少し考え事が過ぎますか。
もっとも、俺が何を考えて居るのか判らない周囲の人間から見たら、美少女に見つめられて少しぼぅっとした少年以外には見えないと思いますから、この短い時間自体に大きな問題はないと思いますけどね。
確かに俺的にはあまり格好の良い状況ではないけど、これから先に深く関わる事がないはずの少女たちの初見の印象が良くても、悪かったとしてもどうでも良い事ですから。
そんな事を考えながら、直ぐに答えを返そうとする俺。
しかし、それよりも先に、
「彼はコーヒーを飲む事が出来ない」
俺の後ろから先に答えを返す少女の声。
但し、この声はあまり聞いた事のない声なのですが……。
「そ、そうなんですか、神代さん」
俺から視線を外し、万結を見ようとして何故か少し視線を泳がせる朝比奈さん。
まぁ、確かに今日一日観察した結果から導き出した答え。森羅万象すべての事に興味を示そうとしない……。本当に生きて暮らしているのか不明過ぎる万結の口から発せられたヤケに人間臭い台詞。それも、他人の嗜好に関する内容を口にしたのなら驚いて当然なのですが……。
もっとも、どうやら異世界同位体と、今ここに存在して居る俺とは、嗜好品に関しては同じような好みだったようです。
但し、
「あ、言え。どちらかと言うと苦手と言うだけで、まったく受け付けないと言う訳でも有りませんから、朝比奈さんが淹れやすい方で僕は構いません」
そうやって、直ぐに
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