第6章 流されて異界
第98話 ここは文芸部?
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拭出来たとは言えない雰囲気を纏いながらも、
「二年二組の朝比奈みくると言います。こちらこそ宜しくお願いしますね」
そう言ってから、……何と言うか、ペコリと言う表現がもっともしっくり来る形で頭を下げる朝比奈みくると名乗った少女。
……と言うか、彼女は二年生なので俺よりも一歳年長。本来ならば、ひとつ歳が上の異性と言う事は、かなり大人びて見えるはずなのですが。その少女が会釈をした雰囲気をペコリと表現する俺は、かなりの礼儀知らずだと言う事ですか。
朝比奈みくる。この世界での設定はごく普通の家庭の娘。……と言う事に成って居る少女。
但し、資料によると元異世界の未来人らしい……と記された存在。
そもそも、元々は一九九九年七月七日に異世界より現われた二名の内の一名……らしいのですが……。
どうにも理解し難い表現なのですが、彼女がやって来た未来では、世界とはパラパラ漫画の一コマのような代物で、未来人がどんなに関わったとしても過去は変えられない、と言う理屈で未来から過去に送り込まれて来た一種のタイムパトロールのような存在らしいのですが。
何となく理解は出来ますよ。物理学的に言うと『時間』と言う物は存在せず、一コマ一コマの切り取られた写真の如き現在がずっと続いて居るのだ、と言う考え方も有るらしいですから。
但し、それは俺が存在して居るこの世界では間違った認識。そもそも時間移動を可能な世界ではその考えは有り得ませんし、自らが存在して居る直接の過去に介入出来る世界で有る以上、その仮説は既に間違って居ますから。その考え方はおそらくアインシュタインが完全に支配した世界でならば通用する知識でしょう。
時間移動を行うには、光の速度を超える必要が有りますが、アインシュタインの理論が世界の理として完全に支配していた場合、まるでアキレスとカメの追いかけっこのような状態が続くはずなので一向に光の速度を超える事は出来ず、結果、過去に向かって時間移動を行う事は出来なくなるはずですから。
但し、この世界。俺が元々暮らしていた世界、そして、現在進行形で暮らして居る世界共に、そんな事は有りません。未来人が同じ世界で呼吸をするだけで。大地を踏みしめるだけで『介入した』と規定される世界ですからね、俺の暮らして居た世界では。
まして、未来人が過去を書き換えて、世界が混乱し掛かった事件は発生して居ますから。この、今俺が暮らして居る長門有希が生活して居た世界、
そして元々俺が暮らしていた世界共に……。
ただ……
ただ、朝比奈さんの訪れた世界でも、世界の観測者として人間以外に、宇宙誕生と同時に発生したと自称していた長門さんや朝倉さんを造り出した高次元意識体が存在したようなので、人間以外にも時間を同じように認識している存在が居る以上
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