第6章 流されて異界
第98話 ここは文芸部?
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われたゲルマニアのヴィルヘルム王子や、自らの事を名付けざられし者だと名乗った青年の服装とかなり似た雰囲気。完全に同じ物かどうかは、夜目と、更にヤツラが纏った闇の気に因り、記憶が定かではない部分もあるのですが、それでも似ているのは確か。
いや、二人とも俺と背格好も似て居たので、髪の毛の色を黒に染めれば、後姿だけで三人の中から俺を見つけ出せる人間は……。
タバサと湖の乙女ぐらいでしょうか。
そこまで思考を巡らせてから、脇道に逸れ掛けた思考を、少し首を振って元に無理矢理戻す俺。
何故ならば、この世界でならば、仮に這い寄る混沌や名付けざられし者が顕われたとしても、俺が孤立無援の状態で戦わなければならない理由がない事に気付きましたから。
確かに、ハルケギニア世界でも積極的に戦わなければならない理由はないのですが、知って仕舞えば対処しなければならない程度の能力は持って居ます。俺は……。更に、あの世界の裏側。異世界から、世界を混沌の淵に投げ込もうとする侵略者に対処すべき防衛能力を持った存在たち、と言う連中に直接の知り合いは居ませんから、降りかかる火の粉は自らの手でどうにかする、とばかりに俺やタバサたちが対処していたのですが……。
この世界には水晶宮。ヴァチカン。それに、この日本にも天の中津宮が存在して居るので、俺程度の人間がシャカリキに成って対処しなければならない理由は有りません。
もっと能力が高い連中に任せて仕舞えば、簡単に事態を処理して貰えるはずですから。
ただ、この部分。この世界の危機などではなく、もっと俺の私的な部分に関しては、そう言う訳には行きません。
その私的な部分と言うのは……。
俺の周囲に居る少女たち。朝比奈さん、朝倉さん以外の四人の少女に対して、順番に視線を送る俺。
そう。もしかすると、彼女ら……。特に湖の乙女の言う『前世』と言うのが、この時代、この世界の事ならば――
但し、この部分に関しても不明な点が多い。
先ず、彼女らとハルケギニア世界の彼女らが魂までも同一の存在で有るのかが判らない。
姿形が同じだからと言って、魂までもが同一の存在だとは限りませんから。
そして、仮に魂までもが同じ存在だったとしても、それがイコール前世の姿だと決まった訳でもない。
可能性としてならば、逆向き。ハルケギニア世界から、こちらの世界へと転生して来た可能性もゼロでは有りません。それこそ、可能性だけで言うのなら、星の数ほど存在している平行世界の数だけ可能性が存在しているはずですから。
……俺の知って居る輪廻転生とは、ひとつの世界の過去から未来へと続く一本道上の単純な世界へと転生を繰り返す。例えば、二十世紀に生を受け、死亡したのが二十一世紀だった場合、次に生を受けるのは二十二世紀以降、などと言う単
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