第6章 流されて異界
第98話 ここは文芸部?
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可能性が高いように見えるので……。
まして、どちらの少女も弁当を用意して居るようには思えませんから。
俺の事をじっと見つめていたさつきが、窓の外を眺められる位置から、万結の隣のパイプ椅子へと移動して来る。
そして、万結が大量に買い込んで来た菓子パンに手を伸ばした。
その時、背後の扉が開く音が聞こえ、
「あ、もう皆さん集まっていたのですか?」
妙に甘い雰囲気の少女の声。ただ、聞き覚えのない声。この声の持ち主に関しては初めての相手か。
そう考えながら一度下ろした腰を上げ、振り返る俺。その瞳に映る三人の少女の姿。
一人は俺よりも深い蒼の長い髪。こちらの方は俺も知って居る顔。一年六組の委員長、朝倉涼子。
そしてもう一人の方は……。
同じく一年六組の女生徒。名前は弓月桜。
身長は長門さんよりは少し高い感じ。彼女の隣に立つ委員長よりは心持ち低いように感じるので一五五、六センチと言うぐらい。振り返った俺を、少しはにかんだような笑みを浮かべながら見つめて居る。
いや、視線は直接俺の顔を見つめず、少しずれた位置……多分、俺の足元辺りに固定して、上目使いに俺の様子を窺っているかのような雰囲気。
細く長い眉。ほんの少し……本当に僅かに下がり気味の瞳は彼女の優しさと、そして弱さを現しているかのよう。それで髪の毛に関しては背中の真ん中。……丁度、肩甲骨に届くぐらいの長さ。まるで極上の墨を梳いたかの如き黒髪。真っ直ぐで素直な髪質で、部室の白色が強い蛍光灯の光を受けて、見事な天使の環を作り出して居ます。
それに、肌もかなり白いように感じますね。
もっとも、文芸部などに参加して居るのですから、そもそもアクティブに太陽の下を走り回るタイプの少女たちではないのですから、ここに居る少女たちの肌が一般的な女子高生よりも白かったとしても不思議ではないのですが。
まぁ、彼女、弓月桜と言う少女に関しての表現でもっともしっくりと来る表現が何かと言うと……良家の子女ですか。
見事なまでに内気な良家の子女風と言う表現が当てはまりますか。典型的な日本の良いトコロの御嬢様。
ただ……。
ただ、彼女に関しては水晶宮から渡された資料の中に名前が有った少女でも有ります。
弓月。俺の記憶が正しければ、この名字も日本の術者の古い系統に繋がる名字。秦氏族系に繋がる名字だったはず。それに、確かキツネにも……。
資料に因ると現在は術者を輩出しては居ないようです。……が、しかし、過去には日本の裏側。陰陽師などと言う形で術者を輩出していたのは間違いない家系。
確かに、彼女の黒髪に白と緋色に色分けされた巫女姿はとても映えるでしょう。
もっとも、彼女に関しては分家筋。本流からは少し遠
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