第6章 流されて異界
第98話 ここは文芸部?
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窓から見えるどんよりと垂れ込めた雲が今この時の俺の気分その物。
妙に重い足取り。あまり早足で歩かない彼女と共に歩いた中でも、取り分けゆっくりと時間を掛けて辿り着いた其処。全体的に小奇麗な校舎の中に有って、かなり雑然とした印象のある部室棟。その少し薄暗い廊下を長門さんに案内されてひとつの扉の前に立つ俺。
本当にこの世界を訪れた俺の異世界同位体は、一体、あの涼宮ハルヒと言う名前の少女とどんな関係を築いていたのやら……。
空模様と同じレベルの気分でそう考えながら、建て付けの良い、とは言い難い扉を開く俺。
その先に存在して居たのは……。
先ず感じたのは意外に広い部屋だな、と言う事。確かに教室と言うほど広い訳じゃないけど、一般的な部室のイメージとして俺が持って居る八畳間程度の部屋よりは広い雰囲気。
部屋の真ん中には会議室などでお馴染みの、折り畳み式の長テーブルが並べてふたつ。それにパイプ椅子が八脚。其処から目を転ずると、窓を背にした部屋の隅には教師専用の机がひとつに、これまた教師専用の事務用の椅子。……複数に分かれた脚部の先に車輪が付いて居る椅子が一脚。
そして、この部屋の本来の役割。文芸部の部室である証のスチール製の本棚が部屋の一方の壁に押し付けられるようにふたつ存在するのと、其処に納められた雑多な内容の本たち。反対側の壁に押し付けられるように配置された理科室にある薬品棚。これはかなり古い感じの物。
最後は本棚に引っ付けるように配置された、普通の教室に置いてある生徒用の机と、その上に古いパソコンが一台。多分、ネットに繋がる環境は整っているようなのですが……。それでも文芸部にパソコンが必要な作業があるとも思えない。
そうして……。
その静かな部屋には、俺たちよりも先に辿り着いて居た少女が二人。
紅い瞳を俺に向け、ただ一途に見つめる蒼い少女が一人。この世界の水晶宮所属の術者神代万結。いや、彼女の場合は俺を見つめて居るのか、それとも、俺の居る辺りに視線を送って居るだけ――瞳に俺と長門さんを映しているだけで、明確に自らの意図の元見つめて居る訳ではない可能性もゼロでは有りませんが。
まして俺や長門さんを見つめて居るのか、突如、扉を開いて部室に侵入して来た人間をただ見ているだけなのかも判りませんか。
そして、もう一人。こちらは部室内に侵入して来た俺たちの方に顔を向ける事もなく、窓の横に立ち、今にも降り出しそうな氷空を見上げる長い黒髪の少女。
身長に関しては俺の傍に居る長門さんや万結よりも十センチほど低いぐらい。彼女らが中学生程度だと仮定すると、その窓際に佇む少女は小学校高学年程度。腰まで届く黒髪に、漆黒の瞳。肌は……一般的な日本人の少女としたら白い方。
水晶宮から渡
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