8話:船の上で
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
さほど特別なものとは思えないが、持っているに越したことはない。革ジャンの内ポケットに仕舞う。続いて見つけたのは説明書を挟んだ黒縁眼鏡だった。
『犯人追跡眼鏡。同封のシールは発信器。
使い方:シールを追跡したい対象に貼り、眼鏡のスイッチを押す。アンテナが出たら起動した証拠。かけると簡易レーダーがレンズに表示され、一定範囲相手の追跡が可能。なお、眼鏡は遠くの物を拡大して見る機能もある。』
試して見るとその通りだった。
ガクソの発明品だろうか。とりあえず弖虎は眼鏡をデイパックに入れて発信器付きシールはズボンのポケットに入れた。
その際にデイパックの底にあった参加者名簿を見つけ、確認する。その内容は弖虎を多いに驚かせた。
「あ、雨宮一彦…!?」
肉体は死んだはずの、雨宮自身は弖虎の中にいるはずの雨宮一彦。しかも、撃ち殺したはずの伊園美和や二度と再生できないように完全に殺し尽くしてやった全一まで。
弖虎を混乱させる名ばかりだった。
「どうなってやがる!?」
スペアの久保田拓也は死んだ。この目で確かめた。
ガクソの、伊園若女の仕業か!?
いや雨宮を生き返らせることが出来たなら伊園若女の野望はそれで終わるはずであり、こんな殺し合いを開く意味など無い。
偽物、ということも考えられるが…。断定するには早計だ。
直接会って、確かめればいい。
弖虎はデイパックに参加者名簿を入れる。
その瞬間に急に殺気を感じとり、右の方を見る。そこには黒い全身タイツのようなスーツを着た長髪の男がおり、手には薙刀を持っている。そして案の定弖虎襲いかかってきた。
「くっ…!」
紙一重で回避し、薙刀がデイパックに入るはずだった参加者名簿を貫く。
弖虎は咄嗟にAK-47を拾って片手で男に向け、乱射する。片手で撃てるのは弖虎だからこそなせる技だ。
だが男には効いている様子がない。銃弾を浴び続けているにも関わらずなお弖虎に向かって薙刀を振るう。弖虎は回避し続け至近距離での乱射をやめない。
やがて銃弾が出なくなった。
「クソ!!」
AK-47を投げ捨てる。
その隙を突かれて繰り出された斬撃を躱せたのはほとんどまぐれだ。
男が次の攻撃をする前に弖虎はバックステップで高く跳躍して距離をとる。攻防が止み互いに牽制する中、弖虎は思考する。と言えば聞こえは良いが、実際はほぼ愚痴みたいなものだった。
(なんなんだアイツは…!あの距離でマガジン一つ分の銃弾を喰らって平気にしてるだと!!)
自分と似たようなものか。弖虎と同じようにガクソに生み出された殺人マシーンなのだろうか。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ