第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
24.July・Afternoon:『Predator』U
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感じる。見えているものだけではない。その周囲に、まだ。
「莫迦が……ンなモンに手ェ出さなくても、テメェならと思ってたのにな!」
右手に持つ『賢人バルザイの偃月刀』を突き付けながら隙無く立ち上がり、左腕で今も震える黒子を庇って立つ嚆矢。
「それは『幻想御手』ですか、それとも『妖蛆の秘密』ですか? はは、まぁ、どちらでも良いか……」
対して目を擦りながらくつくつと笑う、古都。その左手に、魔導書『妖蛆の秘密』を携えて。
「倒すだけ。そうだろ、『妖蛆の秘密』……僕が、勝って……勝つんだ、勝つ…………」
それは、『幻想御手』使用による過負荷か、はたまた、魔術行使の為に命を削られた事による肉体の自壊か。
赤濁した目から、一筋。ぽろぽろと、赤い色を溢して。
「見える、見えるぞ……ああ、これが、質量のうねり……!」
目を開ける事もなく、せせら笑う。血涙をぽろぽろ、ぽろぽろと今も溢しながら────三つの小石が内側にひしゃげ、見えなくなる。
「チッ────呆けてる場合じゃねェ、しっかりしろ、黒子!」
「対馬……先輩……あれ、何ですの……あの、化物……!」
仕方ないとは言え、今は死地。茫然自失状態の黒子を叱咤する。強く肩を揺さぶり、真正面から瞳を覗き込む。『加護』の神刻文字を刻み付けながら。
それによりか、元々の意思が強いのか。虚ろな瞳に、僅かに正気が戻る。何とか、気絶まではいっていないらしい。
「クソッタレ……!」
その間にも、古都は人差し指をこちらへ向ける。無論、その先から逃げる。迫り来る、『空間の歪み』を感じ────可視化した、光の歪み。放たれた、一条の光線を。
それが触れた、橋脚。厚さ十メートルはあろうかと言う、コンクリートと鉄骨の複合材。それが、熱した鍼を突き刺した発泡スチロールの如く貫通されていた。
──さっきのが『事象の地平線の手榴弾』なら、これは『事象の地平線の銃弾』か。
殺傷人数と効果範囲は前者より狭いが、速さと直線的な殺傷範囲はこれの方が上だ。
二発、三発。副魔王の空間掌握により射線の先読みをし、回避を続ける。黒子が本調子でない今、自分が何とかするしかない。
刹那、鼻を衝く刺激臭。それを感じると共に、足元から来る『何か』を感じる。見詰めても、そこにはアスファルトの破片くらいしかなく────
『Gruaaaaaaaaaa!』
その『鋭角』から飛び出してきた『ティンダロスの猟犬』、この宇
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