目覚める力
[6/6]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
くる。
「解りましたよ…私の中にある魔法が、何か」
「……え?」
余裕の微笑みを浮かべていたポワソンの表情が、驚きに崩れた。
きっと彼女は気づくはずがないと思っていたのだろう。
まさか――――まさか灰竜が彼女に語りかけるなんて、思ってもいなかっただろう。
(私だって驚いてる。グラウアッシュが語りかけて来るなんて思ってなかった)
両手に白銀の風が纏われる。
先ほどまでの灰色の風とは違う、別の何かを滅する為の力。
きっとこれはミラさんとかにはよく効くんだろうな、なんて考える余裕が戻ってきている事に気づいたのは、少し後の事だった。
(……もちろんだよ、グラウアッシュ。私が貴女を信じない訳ないじゃない)
この魔法を告げた後、グラウアッシュは少し心配そうな声色で言った―――――信じて、と。
それに答えを返す前にふっと声が途切れたから返す事は出来なかったけれど、きっと届いていると信じて静かに思う。
(だから見ていて。私はちゃんと戦える――――強くなれてるから)
決意と覚悟が目覚める。
今までの触れただけで折れてしまいそうな弱々しいモノではなく、しっかりと根を張る強い決意。
静かに両手を合わせ、地を蹴る。
「天魔疾風ノ剣!」
驚いた表情のポワソンが慌てて避けるのが見えた。
辺りの草が一瞬で刈られる。
自分が笑みを浮かべている事に、ココロは気づかなかった。
「何で…何で、解ったんですか」
硬い声でポワソンが問う。
表情は厳しく、その目は睨むようにココロを見ていた。
が、不思議と恐怖は感じない。
怯えるどころか、その目を向けられる事が当然であるとさえ思っていた。
「私は、灰竜グラウアッシュの娘ですから」
それ以外の答えなんてない。
それ以外に似合う答えも存在しない。
それこそが答えであると信じて、力強くココロは言った。
灰竜グラウアッシュは、言った。
ココロの新しい魔法は、悪魔祓いの魔法であると。
失われた魔法の一種である魔法。
天空の滅悪魔法。
悪魔を滅する白銀の風を操る――――――天空の滅悪魔導士。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ