目覚める力
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の魔法”はかなり脅威……だけど、どれだけ強い魔法も使えなければただの御飾りにしかなりません。そして、魔法に気づけるほどあの人は賢くない)
侮っていった。
気づくはずがないと、高を括っていた。
「……そっか」
――――――そうであるハズだったのだ。
彼女が気づく事など、有り得る訳がなかったのに。
「解りましたよ…私の中にある魔法が、何か」
「……え?」
聞き間違いかと思った。
解る訳が無いはずなのに、目の前の少女は解ったと言った。
そして―――――構え、地を蹴る。
「天魔疾風ノ剣!」
両手に纏った白銀の風を剣に見立て、両手を合わせる。
それを力強く、ココロは振り下ろした。
辺りの草が一瞬で刈られる。
ココロの顔に笑みが浮かんでいる事に気づいたのは、それと同時だった。
時を少し前に戻す。
まだココロが自分の魔法に気づいていなかった時。
ポワソンがクスクスと笑っている時、彼女は目を伏せていた。
(……きっとヒントなんてくれない。自力で気づくしかない。けど……)
力があるのは感じる。
滅竜魔法が消えて開いた穴を別の魔法が埋めているような感じがする。
が、新たに穴を埋める魔法が何かが解らない。
(こんなトコで負けてちゃいけないのに…皆が頑張ってるのに……私だって、頑張らなきゃいけないのに……!)
唇を噛みしめる。
握りしめた拳が震え、ココロの中で何かが渦巻く。
―――――そんな時だった。
―ココロ……―
声が聞こえたのは。
その声に、ココロは目を見開いた。
(この、声……)
辺りを見回す。
が、あの巨大な灰色の体躯も温かい光を宿すワインレッドの瞳もない。
けれど、あの低めのハスキーな声はあの人以外有り得ない。
いや…彼女は人じゃない。
―ココロ―
聞こえた声に、ぴくっと体を震わせる。
姿は見えず気配すらも感じないが、確かに彼女はそこにいる。
静かに、心の中で問う。
(グラウアッシュ?……グラウアッシュなの?)
それは、育ての親である灰竜の声。
ぎゅっと祈るように手を握りしめる。
この声が灰竜の声である事を、願った。
7年前突然姿を消した、大好きな親の温かい声。
―ええ、久しぶりね…ココロ。見ないうちに大きくなったわね―
目を見開く。
必死に涙を堪え、両手で口を覆う。
無意識のうちに体が震え、表情を隠すように俯い
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