目覚める力
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い、銀色の。
――――――が、黒が見ているのはそれではない。
重なるように隠れる、もう1つの鍵。
少し力を込めただけで折れてしまいそうな、細い漆黒の鍵だった。
「っはあ……」
滅神奥義・魔神煉獄撃を放ったアランは天を見上げて大きく息を吐き、その場にドサッと座り込んだ。
数回深呼吸を繰り返し、自分の右掌を見つめる。
戦う前と何も変わらない手だが、アランの目には力に溢れているように見えた。
(何年ぶりかな…滅神魔法を使ったのは。昔は大嫌いだったのに、今は何か心地いいし)
思い出そうとして、やめる。
過去を振り返るなんて面倒な事をしている場合じゃない。
空気中のエーテルナノを吸い込んで体力と魔力をある程度回復し、立ち上がる。
「さて、と……行こうか」
誰に言う訳でもなくアランは呟き、駆け出した。
「あうっ」
灰色の風が頬を掠め、ココロは小さく悲鳴を上げた。
軽く頬を撫でると手に血が付き、表情を歪める。
「灰竜の螺旋燼」
「きゃああああ!」
両手に纏われた螺旋状に回転する風。
両手を合わせる事で竜巻と化すそれを、ポワソンはココロのガラ空きの背中目掛けて放った。
咄嗟の事に行動が遅れたココロは吹き飛ばされ、地面を転がる。
(どうしよう…滅竜魔法を失った事で聴覚とかが低下してる。逆に相手が鋭くなってるし……不利にも程があるよ…)
滅竜魔導士は感覚が優れている。
だから大きい音が普通より大きく聞こえたり、匂いを強く感じたりするのだ。
その感覚で慣れているココロにとって、突然それが低下しているこの状態には慣れない。
だから、なのかは本人にもよく解らないが、敵の動きに気づけなかったりする事が先ほどから多い。
(うぅ…こんな事ならティアさんみたいに魔法無しで戦う手を作っておくべきだったなぁ。私、完全に魔法頼りだったから……武器の1つも持ってないし…)
近くにある武器になりそうなもの、といえば折れた木の枝くらいしかない。
どこかにココロでも扱えそうな武器が落ちている、なんて都合のいい事は無かった。
「気を抜くと危ないですよっ!灰竜の咆哮!」
「ああああああっ!」
灰色の風のブレス。
吹き飛ばされたココロは口元の血を拭う。
険しい表情のココロとは真逆に、ニコニコと微笑むポワソンが口を開いた。
「どうです?貴女の中の魔法が何か、解りましたか?」
「せめてヒントくらい欲しいですね」
「ヒントですか……気が向いたらあげますよ」
クスクスとポワソンが笑う。
考え込むように目を伏せるココロを見つめ、思った。
(私が最後に奪った“あ
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