第一部 刻の鼓動
第三章 メズーン・メックス
第三節 蠢動 第四話 (通算第54話)
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けて来たのだ。
「誰かが中に!」
「何?こんな時に……」
ブライトもエマを援護すべく、タラップに駆け寄る。MSはコクピット脇に外部から強制的にハッチを開く緊急時用のスイッチがあった。それを使おうというエマの意図を了解した。
「下がってください!危ないですよっ」
メズーンは、外部スピーカーをオンにして警告した。エマは嫌いではなかったし、ブライトは尊敬していた。自分が知る人を死なせたくはなかった。
だが、《ガンダム》から、まるで巨大な人のように感情的な声が放たれたことに、エマは呆気にとられ立ち尽くしてしまった。
「貴様、正規のパイロットじゃないだろうっ!今すぐ、そこから降りろっ」
さすがにブライトである。躊躇いのようなものを《ガンダム》から感じ、パイロットが敵ではないが味方でもないと気づいた。これくらいで降りるようなら最初からやる筈はない。危険から離れるべく、エマを抱えて安全を確保するための牽制である。
「なんなんだ、コイツはっ」
メズーンは悪態をついていた。コクピットに入ったはいいが、操作系が《ジム》とは全く異なる構造なのだ。
《マークU》は基礎設計自体が違うため、リニアフロートやオールビューモニターは同じでも操縦系は《ジム》と全く違う。世界で初めて採用されたフルムーバブルフレームの機体が《マークU》である。ティターンズのパイロットたちは、一部とはいえムーバブルフレームを採用しているクゥエルに搭乗経験があるため、さして違和感を感じなかったが、メズーンは《ジムU》以外の搭乗経験はない。ムーバブルフレームはコロラドサーボ社の最新技術であり、他の機体では採用されていない。ニュータイプでもなく、訓練もされていないメズーンが戸惑うのも仕方がなかった。
「上手く動いてくれよ!」
当てずっぽうで辺りをつけ、起動させる。繋留索を引きちぎり、クレーンをねじ曲げて《ガンダム》が立ち上がった。格納庫の天井を突き破って顔が出た。メズーンはスラスターを使わず、《ガンダム》をジャンプさせる。《ガンダム》は軽やかに飛翔し、中空に躍り出てから、目一杯スラスターを噴かした。
「あの男……パイロット?」
上手くはないが、操縦はできる。たが、あの程度なら僚機が駆けつければ取り押さえられるかも知れないとエマは考えた。ただし、侵入した所属不明機――恐らくはエゥーゴが介入しなければ、である。エマがそう考えてジープに戻ろうとした時、赤い《リックディアス》が中庭に着地していた。
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