マクロスF
0724話
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だが、それをしないのはあくまでも俺の都合である以上、俺にシェリルを責める資格はない。
「安心しろ。確かに消極策は俺の好みじゃないが、だからと言って、それを認められない程に懐は狭くないつもりだ。それこそ、シェリル1人を守れるくらいにはな」
「……馬鹿。本当に馬鹿なんだから」
ポツリ、とシェリルが呟いたその瞬間。映像モニタの先で俺達の姿を探していた筈のアンノウンが、唐突にファイターへと変形してこの場所から去って行く。
「もう諦めたの? ……早くない?」
「ああ、明らかに諦めるのが早い」
俺達が劣化ASRSを使って身を隠してから、まだ数分といったところだ。その程度の時間であのアンノウンが俺達を捜すのを諦めるか? 確かにあのアンノウンは今まで色々と不可解な動きでこっちを妨害してきた。それを思えば、あるいは無理もないかもしれないが……それでも、やはり疑問が残る。
考えられる理由としては、この場所にいる必要がなくなった? あるいは、この場所にいても意味が無い?
「……まさか」
脳裏を過ぎったのは、テムジンが運び出していた反応弾。一応はオゴダイが全てを元の保管庫に戻した筈だが、数をきちんと確認したかどうかは聞いていないし、あるいは保管庫から運び出した反応弾が全てトレーラーに乗せられて移動させられていない可能性もある。もしテムジン=グレイス=アンノウンと繋がっているとすれば……
いや、だがグレイスにしてもシェリルが俺と行動を共にしているというのは知っている筈だ。なのに、それを切り捨てるような真似をするか?
「くそっ、今は考えている場合じゃない。とにかく行動に移すべきだな」
「ちょっとアクセル、どうするの?」
「一旦この艦から外に出るぞ。あのアンノウンがあっさりとここから去って行ったのは……」
そこまで口に出した時、ゾクリと背筋に冷たいものを感じる。
そう、いつも感じている念動力による危険の察知だ。危険、危険、危険。
「っ!? シェリルッ、しっかり掴まってろよ! 多少手荒い操縦になるが、このままだと危険だ!」
「分かったわ!」
俺の声で、どれだけ逼迫している状況なのかを理解したのだろう。シェリルは短く返事をして後部シートで身体を動かないように固定して、更に俺のシートの後ろへと掴まる。
それを確認し、ファイターの翼の下に装備されているガンポッドでマクロスの装甲を破壊して外へと脱出する。通常であれば、絶対に不可能だった方法。この10年近く風雨に晒され、植物や苔の侵食を受けていた為にある程度まで脆くなっていたからこそ出来た方法だ。
そのままエンジンを全開にして、装甲に空いた穴から脱出する事に成功する。
「アクセル!」
シェリルの驚愕の声と共に、背後が激しく輝く。まるで、
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