憎悪との対峙
32 不安定な信頼関係
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は何かを隠している。
自分のPCからデータが送信された先で事件が起こり、何か心当たりがあるというのに口を閉ざす。
それは何か隠さなくてはならない事情があるからだ。
それがこの研究だったとしたら、全て辻褄が合う。
「間違いないな。ここまで話したら、おっちゃんはそれ以上のことを言わなかった。多分、私がばあちゃんからなんかの遣いを頼まれたと思ってたみたいでここまで喋ったが、私が何の情報も知らない別件でやってきた人間だと知って黙り込んじまった」
「そのデータが送信された先で殺人事件が勃発、不意に未知の電波人間が現れて争った。その次の夜に同じ電波人間がまた他の電波人間と争い、現場のビルごと吹き飛んだ...間違いなく人に軽々と言えるような研究じゃなかったんでしょうね」
「あぁ。だがこれだけじゃ弱い。なんせ相手が業界じゃ権威と崇められてる、ヨイリー博士殿ではな。見た目はぶっちゃけ普通の老いぼればあちゃんだが、中身は天才だし、現実に天才は健在だ」
「別にヨイリー博士は悪人じゃないのは分かってるけど...きっとこの事件の裏で動いている何か...それをきっと知ってる」
リサとマヤはこの事件において暗躍する何かの力があるのは気づいていた。
もちろんシドウも気づいている。
Valkyrieが犯罪を助長し、WAXAが追うという正義VS悪の二大勢力構造の中に第三の勢力が潜んでいると。
敵なのか味方なのか分からないが、それがこの事件の鍵を握っているのだけは間違いなかった。
「ヨイリーのばあさんなんか年金でもアップしてやれば口開くんじゃねぇすか?」
「テメェは黙って運転に専念しろ!!始末書怖がってるだけのチキン野郎がよ!!」
「そうですよ!14歳年下の私たちと階級が同じって段階でちょっとは危機感持ってください!!」
「ちょ...それは御二人が特殊なだけで...」
笹塚は11才のお子様2人組の猛攻撃を背中に浴びながら、自分の無力さを痛感した。
正直、言われていることがもっとも過ぎて言い返すことも出来ずに泣きたい気分だった。
しかしここで途中停車することも出来ず、3人の乗った『HONDA・ヴェゼル』は高速道路を80km/hを維持したまま走り続けた。
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