憎悪との対峙
32 不安定な信頼関係
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本部で作業しようにもネットワークが使えなければ、最新のデータや状況が分からない。
無線機などインターネット回線が使えなくても通信可能な手段はあるが、学校から半径10キロ近くが電波妨害されている。
妨害電波の外に連絡用の基地にしており、最後の定時連絡によると17時に突入するということだ。
この作戦の意図はすなわち人質を見捨てることに他ならない。
「おい!笹塚!!運転下手過ぎだろ!?」
「仕方ないじゃないすか!?だって半年前に女の子目的で合宿に行ってそれ以来、ペーバーなんすよ!」
「はぁ!?ふざけんなよ!お前!」
「運転してみれば分かりますよ!!この車、WAXAのやつですけど、こすったりしたら間違いなく始末書ってプレッシャーと戦いながら運転するのってかなり辛いんですよ!!」
正直、笹塚は技術力があってもまともな公務員という点では疑問符のつく人間だった。
その時の試験が偶然よかったか、あまりにも他の人間が悪すぎたかのどちらかで採用されてしまったタイプだと誰もが思っていた。
これまでも分析官としては優秀でも、人間としては難有りとしか表しようの無い部分が多かった。
報告書が小学生の作文以下のものしか書けない、上司にはため口、未成年時代から飲酒、喫煙、無免許運転など輝かしいキャリアを持っていた。
これまでもいわゆる減点に当たるようなことを繰り返しすぎて、もし今度、始末書を書くようなことがあれば、減給や謹慎、最悪な場合、停職にもなりかねない。
笹塚はいわゆるチャラ男でいきがっているタイプだが、メンタル面ではノミの心臓、器の小さい人間だった。
「笹塚さんは落ち着いてブルブル震えないで運転してください。マヤちゃんはさっきの続きを」
「おっ、おう。ちょっと気になることがあった。ヨイリーのばあちゃんの件だ。正直、さっきまでの高垣と少年の件はこれ以上のことは分からなかった。特に少年の方はまるで何かに隠されてるかのように真っ白だったよ」
「うん」
「これは完全に偶然だった。例のダウンしたシステムの定期健診の記録からデンサンシティのI.P.C本社に行った時、WAXAの人間だと分かるやそこにいた科学者のおっちゃんに声を掛けられたんだ」
「ええ」
「どうやらヨイリーのばあちゃんの昔の同僚だったんだ。ヨイリーのばあちゃんはWAXAに来る前は科学省にいたんだが、数年前までI.P.Cと共同で何かを研究していた。で、そのおっちゃんが言うには、ばあちゃんがプロジェクト解散の時、何かのデータを持ち出したらしい」
「何かのデータ?」
「何日か前にそのデータが送信されたという連絡がばあちゃんから入って、ばあちゃんは今必死にその行方を探してるらしいと...」
「それって私たちが送信先を突き止めろって言われた...」
リサは気づく。
ヨイリー
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