憎悪との対峙
32 不安定な信頼関係
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すぐに動かなくてはならない。
腰のホルスターからグングニルを引き抜き、ワイヤー弾が装填されているのを確認すると倉庫の扉を物音を立てないようにわずかに開き、狙いを定めた。
「A6班は4階に向かう!!」
シドウは部隊の最後尾を着いていく。
銃の中には気絶させるためのラバー弾、これで人質もろとも撃とうとする人間を気絶させる。
この作戦に従うつもりなど無かった。
しかし逆らえば今後の作戦から外され、より多くの犠牲が出る可能性が高い。
苦渋の決断だった。
しかし階段の1段目に足をかけた瞬間、足に何か引っ掛かった。
「ん?」
ふと足を止めた。
「暁さん?急がないと!」
「あっ、あぁ...」
しかし右足が前に進まない。
見えない何かが足を止めている。
関節や筋肉など自分の内部に原因があるわけではなく、外部に障害がある。
しかし首を傾げた時、何か光る糸のようなものが見えた。
「ワイヤー...うっ!?」
「暁さん!?...あれ?」
シドウの驚いた声に前を進んでいた人間は振り返る。
だがその頃にはシドウの姿は無かった。
しかし足を止めるわけにもいかず、再び前を向くと部隊を追いかけた。
「うぉ!?」
シドウは引っ張られ、引き込まれた先は倉庫だった。
入った瞬間、扉を閉められ、持っていた銃を奪われた。
「このタイミングで突入してくるなんて、お前たちバカじゃないのか!?」
「!?お前は...」
シドウはゆっくりと起き上がり、自分をここに引きずり込んだ存在を見た。
そこにいたのは先程の映像で圧倒的戦闘力で敵を倒したロックマン=スターダストだった。
しかし全く危害を加えようとする様子も無く、一方的に殴りかかろうとする気も無かった。
そして何より何処かで見たことがある気がしたのだ。
必死にスターダストに悟られぬように自分の記憶を探る。
「僕だ」
だがシドウが考えるまでもなく、スターダストは口を開き、聞き覚えのある声でシドウの記憶を刺激した。
続けてヘルメットバイザーを外した。
「お前...シンクロナイザー?」
「よく覚えてるもんだね、裏切り者のくせに」
バイザーの下には忘れようも忘れられない呪いのように脳裏に残った顔、自分の裏切ったディーラーの中でも恐ろしいまでに自分を恨んでいるはずの人間、シンクロナイザーと呼ばれていた少年の顔があった。
電波変換の影響で髪は紫に混じり、目は青に変わっているが、中性的で幼さを残す顔立ちは全く変わっていなかった。
彩斗は自分のことをまだ覚えていることに皮肉を叩きつつも自分に危害を加えようと考えていないことを感じ取り、単刀直入に話を始めた。
「この娘をグラウンドに連れて行
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