憎悪との対峙
32 不安定な信頼関係
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それも1人や2人ではない。
数十人単位の歩幅も速度も違う、この状況下で考えられる最悪のシナリオだった。
「A班は地下、B班は6つに分散し、4班はホールの階段、残りは職員室隣の階段から上り、1階につき2班が残って敵の殲滅、人質の捜索を行え!!!」
「WAXA」のジャケットを着た男がホールの中心で指示をする。
悪い感は的中してしまった。
WAXAと警察が予想より大幅に早く突入してきた。
まさか...この状況で突入なんて...ありえない!!正気なのか!?
スターダストは倉庫の鍵穴からホールの光景を見て、驚きを隠せずにいた。
ここで突入するということは人質の命を見捨てることに等しい。
しかしWAXAがそこまで無能な組織だとは思えなかった。
少なくとも自分の知っているWAXAの人間ならここまで無能ではない。
スターダストは何がなんだか分からなかった。
ただ1つだけ確かなのは自分の計画は完全に終わった。
今までのように自分が早く来過ぎた敵やイレギュラーな存在を倒すという自分1人の努力だけで計画を修正し取り戻せるレベルではない。
スターダストは思わずグローブの上から右手の親指の爪を噛んだ。
このまま連中が去るのを待ってメリーとともに逃げる、今の状態ではそれしかない。
スターダスト=彩斗自身は合理的、二択を迫られれば重たい方に傾くタイプの人間だった。
もちろんこの場合ならメリーだけでも救う、それが一番正しい。
それによる機会費用、スズカ、そして40人の生徒たちの命、失うものが大きすぎる。
どうしてもその決断を下すことは出来ない。
Valkyrieと自分の争いにこれ以上、誰も犠牲にはしない。
その前提条件が守れないなら意味は無いのだ。
これ以上...Valkyrieに僕の大切な人を...
必死に計画の修正できる点を探す、鍵穴から何か状況を打開できるものを探す。
集中し眼球の動く早さ、そしてそれを処理する脳の活動はますます加速する。
そしてスターダストのシステムもそれをバックアップするかのようにアナライズ機能を作動させた。
「...アイツは」
スターダストは1人の男に目を留め、バイザーのズーミング機能が男の顔をはっきりと見せる。
身長178cm、体重67kg、システムが対象の情報を予測演算した。
肩くらいまで伸びた髪、筋肉質な体型に整った顔立ちで他の隊員とは一線を画す隊員、スターダスト=彩斗には見覚えがあった。
今ではWAXAのエース、そして過去はディーラーのエースにして裏切り者、暁シドウだった。
「...よし」
スターダストは数秒目を瞑り、頭の中を整理し、作戦を修正する。
だがこれからは変更は効かない。
間違いは今まで以上に許されず、一刻の猶予も残されていない。
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