1話、研究所
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「それから、研究所の全シャッターを下ろし、各棟の部屋のドアがきちんと閉まっているか確認してから入り口を施錠して下さい」
シャッターの開閉は警備指令室から制御できる。おそらく人口知能のキャリーに言えばシャッターくらい閉めてくれるだろうが、今は警備主任を通すことにした。
すぐに強化ガラスで覆われていた本館が、さらに鋼鉄のシャッターで覆われる。中は少しばかり暗くなったが安心感は上がった。
本館の他に研究棟は五棟。警備指令室のある本館(A棟)の他にBCDE棟がある。警備主任を警備指令室に残して、警備員達は駆け足で他棟に向かった。
「キャリー。駐車場に車は何台ある?」
『地上駐車場三十台、地下駐車場二十台です』
「内訳は分かるかい?」
『地下駐車場に斉藤様と警備員の自家用車が七台。その他自家用車三台。研究所の社用車が十五台、地上駐車場に研究所の社用十台。F棟建設工事関連の車両が十五台です』
「ありがとう。キャリー」
「斉藤さん。敷地の出入り口の戸締まりは確認したよ」
「大原さん。では正門に一人残してこっちの作業を手伝わせて下さい。私は工事車両に鍵があるか見てきます」
「工事車両の鍵ならここにありますよ。ゼネコンの方が万が一と言って置いていきましたから……」
「そうですか、では手が開いたら社用車と工事車両全部に鍵をさして下さい。それからワンボックスタイプ社用車を横付けして、遊歩道の門を塞いで欲しい」
「遊歩道に車ですか?」
「緊急事態ですから指示に従って下さい。私が責任を取ります」
「……分かりました」
「そうだ念のため二台にしましょう。二台目は乗用車タイプを横付けして下さい」
警備主任は頷いて鍵を用意した。その間、俺は工事車両の車種を確認した。
ダンプ、生コン、ユニック、ショベルカーなどがあるが、さすがにテレビで門の役目を果たすトレーラーは存在しない。
その後、十台近い車を正門及び裏門にも移動するなどして、可能な限り研究所の守りを警備員に強化させた俺は、ようやく全警備員の早退指示書にサインした。
実際、警備員達は一刻も早く帰りたいようでよく動いた。わずか二時間ほどで俺の頼みを全てこなし、いよいよ帰宅することになった。
「鍵は私が預かりましょう」
規則に従って拳銃をしまうために武器ロッカーを開けた大原警備主任を見て、俺は手を差し出した。
警備主任は一瞬躊躇した。臨時所長にどこまで権限があるか考えているのだろう。まあ、普通に考えれば臨時所長も所長も、緊急時には警備員に命令できるはすだ。キャリーに確認して駄目なら諦めよう。
「キャリー、緊急時の臨時所長に武器ロッカーの鍵を確保する権限はあるか」
「あります。施設内の全ての物を確保する権限が与えられています」
「臨時とはいえ今の斉藤君は所長でしたね」
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