暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
古都漫遊
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たように思っていたんだ」

螢さんはそこで言葉を切り、少し離れた場所にはいる木綿季を見た。

「だからかな……俺と似たような境遇にいるだろう友紀奈に、その……一線引いて接してた気がしたんだよ」

そう。それは私も同じ事を考えていた。七武侠盟主としての皇、その今代が私だ。一方で私は京都の古い良家である皇の娘として地元の私立高校に通って普通に学生生活を送っている。
二つの世界は時間軸、空間軸という概念で同一だが渡り歩いている者、私や螢さんのような境遇の人々にとっては水と油のように混じり合わない対極の別世界。
その境界は同一であるが故に曖昧で儚く、崩れやすい。

だが、その境界を崩れないよう死守するのが皇を始めとする七武侠であり、ホークスの様な秘密武装集団だ。
日常を営む人々を人知れず庇護する。そこには名声も利益も無く、感謝もされない。
混乱を招かない為に全てを隠蔽し続けなければならないのだ。

「けど、友紀奈は普通の女の子でもあるだよな。俺と同じように……」
「……そうですね。私も、少しそんな面を残していたのかもしれません」

硬貨を機械に入れ、ボタンを押してアームを動かす。一回、二回と挑戦するがどちらも失敗してしまった。
200円で一回、500円で三回というこの機械で、どうせ一回で取れる訳が無いと思っていた私は最初から500円を入れていた。

「……うぅ。取れません」
「……友紀奈、俺の言う通りに動かしてみてくれ」
「え?……は、はい」

螢さんはさっきから私が狙っている、背丈20cm程の白くまのぬいぐるみを見て「よし」と頷いた。

「行くぞ。横へ…………離して、奥…………そこだ」

言われた通りにボタンを操作して、アームは見事ぬいぐるみの付属の紐に掛かった。

「やった……??」

宙に持ち上げられた白くまが段々とゴールの穴まで運ばれて行って……途中で落ちた。

「あぅ……」

螢さんは、ガクッと分かり易く肩を落とす私の頭をポンポンと叩くと機械に近づいて行って、コツンと軽く機械を蹴った。いや、蹴ったとも言えない、軽く当てた程度の威力。
それが危うくぬいぐるみの斜面に引っかかっていた白くまを再び動かし……取り出し口に落とした。
そしてそれを取り出し、私に渡してくる。

「ま、少しズルイが良いだろ」
「あ、ありがとうございます」

彼は少し子供っぽく、イタズラをした子供の様な笑みを浮かべた。









雨も止みそろそろ時間的にも頃合いだ。とは言ってもあの屋敷に帰る必要は無い。適当な所に宿を取って若者らしく夜遊びをするのもまたありだ。
だが、俺は木綿季にも友紀奈にもそんな不節制な事をさせるつもりは無かった。適当な所で切り上げ、屋敷に帰ろうとしたのだが
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