アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
古都漫遊
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るか?」
「そうですね……」
ゲームセンターに入った事が無いという程自分は箱入りでは無い。ただ、それは親しい友人に誘われて、プリクラという写真を撮った時に何度か入った事があるだけだ。興味を引くものは多かれど、遊んだ事は無かった。
結果的に選んだのはUFOキャッチャーだった。ゲームセンターと名のつく場所にはほぼ必ずあるもので、見ただけで大体の遊び方を察する事が出来るシンプルなもの。
ただ、コツを知らない者は絶対に取れず、あっという間に金を擦る魔の機械でもある。
上手く取れる自信は無いものの、両替した硬貨を手にその機械の前に立つ。プラスチックの壁の向こうにある景品は様々な大きさのぬいぐるみだ。
「……は??」
しかしそのぬいぐるみ、所謂『カワイイ系』というやつだ。つまり、デザインがどことなく子供っぽい。
慌てて螢さんの方を見てみれば、案の定というか……苦笑していた。まるで「こうゆうのが好きなのか、意外だなぁ……」とでも言いたげに。
いや別に嫌いな訳では無い。むしろ好きな方だ。子供の頃に買ってもらったりしたぬいぐるみは綺麗にして未だ部屋に置いてある。
たが、それは『秘密』にしておきたいものだ。寝る時はその日の気分に合わせてチョイスしたぬいぐるみを抱えて寝てるなんて事実を知られた暁にはいっそ死んでしまいたいレベルだ。
「あの、ですね……??」
「ん?どうした?」
「別にこれは私の趣味とかそうゆうのではなくてただ単に……えと、木綿季さんから余り離れてませんしそうすれば螢さんも安心かなぁと思った故の選択であって決して欲しいからこの機械を選んだ訳では無いのをどうぞご理解して頂きたく……って、何で笑うんですかぁ??」
螢さんは横を向いて肩を震わせている。おかしくて仕方が無いというような様子だ。
やがてこちらに向き直った彼は私を見るとーーー多分、ふくれっ面になっていたのだろうーーー困ったような苦笑いをして言った。
「笑って悪かったよ。どうにも七武侠盟主、今代の皇というイメージから離れていたから……何だか、変な距離感を感じていた自分がおかしくなったよ」
「……変な距離感、ですか?」
その恥ずかしい肩書きはともかく、とりあえずその曖昧な言葉を指摘する。
すると、螢さんは肩を竦めて言った。
「俺は、中途半端な存在だ。怪しげな秘密武装集団に所属し、実家は古き武侠の末裔。一方で普通の高校生をして、良き友人達を持ち、恋人まで居る。対極の、二つの世界を日々渡り歩いて、どっちつかずの人生を送ってきた。こんな奇特な生き方をしているのは俺だけだと思ってたんだ。不安定で、曖昧な……危うく儚い存在。……そんな時、木綿季と再会して、どんな世界にいようと彼女と共に生きると決めた。木綿季のおかげで俺は水城螢として確固たる存在になれ
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